三井不動産商業マネジメント(株)(東京都中央区)は、2012年4月に東京・お台場で「ダイバーシティ東京 プラザ」を開業した。キャラクター系の店舗や体験型施設などを多く導入し、近隣エリアのみならず国内外から幅広く集客している。3月14日には5階西側エリアで新店8店がオープンした。特殊立地ならではの集客や販促施策などについて、ダイバーシティ東京プラザ オペレーションセンター 所長の岡村泰弘氏に聞いた。
―― 施設の特徴から伺えますか。
岡村 店舗数はおよそ150店。観光地というお台場の特性から、非日常を楽しんでいただけるテナント構成を意識している。開業当初はファストファッションや海外ブランドの日本1号店が目玉となっていたが、時が経ち、またコロナ禍も経験した中で、今はキャラクター系のコンテンツや体験型施設が集客装置となっている。キャラクター系だとシンボルである「実物大ユニコーンガンダム立像」のほか、店舗としては「ドラえもん未来デパート」「ONE PIECE 麦わらストア」などがある。また、体験施設としては「ラウンドワンスタジアム」「リトルプラネット」「うんこミュージアム TOKYO」などが出店している。そのほか、「Zepp DiverCity(TOKYO)」は目的型の施設として機能している。こうしたラインアップから、レジャー目的でお越しいただける商業施設というのが1つの大きな特徴だろう。
―― 客層や商圏も貴社の他施設とは異なりそうです。
岡村 国内客は他のららぽーとと異なり、1都3県を大きく商圏として捉えている。都内からのお客様を中心に、神奈川県、千葉県、埼玉県からも来館いただいている。顧客の年齢層を見ると、「ららぽーと」などに比べて10~20代の構成比が高い。「フェスティバル広場」ではアイドルなどのイベントを定期的に開催しているが、ファン層が若いアイドルや駆け出しのアーティストのイベントへの反応も良いように感じる。
―― インバウンドも多いですか。
ダイバーシティ東京 プラザには国内外から多くの人が訪れる
岡村 特に24年度は一層多い印象だ。おそらく彼らはお台場を「観光地」と認識して足を運んでいるのだと思う。売り上げは前年度より大幅に伸びており、コロナ前と同等かそれ以上の水準にまで達している。ただ、日本食を楽しんだりラウンドワンで遊んだりと、ひと昔前の「爆買い」とは消費行動は変わってきており、より「コト消費」にお金を使う傾向が見られる。
―― お台場は足元住民が少ない地域という印象です。
岡村 開発時から足元住民の少ない観光立地という特性を意識して開発を進めていた。ただ、今は有明エリアなどで住宅供給が増えており、近隣にお住まいの方にも遊びに来ていただけている。近隣の「三井ショッピングパーク アーバンドック ららぽーと豊洲」は日常使いの要素が強く、当施設とは食い合わず共存できている。
とはいえららぽーとと違い、一見客が多いのは事実だ。月に1回は難しくても、シーズンに1回ごとには来ていただけるよう、楽しい企画やイベントを継続的に開催する必要がある。それをSNSなどでお客様に発信していただけるとなお良い。テナント発案のイベントにも積極的に協力していく。
―― 周辺施設との回遊は。
岡村 「日本科学未来館」とはチケットを提示してもらうと当施設で使える食事券をプレゼントするなどの連携を図っている。実際、日本科学未来館の帰りに食事で立ち寄る方は多い。また、24年の夏には日本科学未来館の特別展とのコラボイベントを実施し、実施期間中は平日でも1日数百人が訪れた。
周辺には「アクアシティお台場」や「デックス東京ビーチ」といった商業施設もあるが、いずれも当施設とはMDが異なる。映画館が入るアクアシティお台場や「レゴランド」を有するデックス東京ビーチとは相乗効果が得られていると思う。
―― 施設に人を呼ぶために講じている施策は。
岡村 国内客に向けては近隣の宿泊施設と連携してお買い物券を配布している。一方、インバウンドに向けては、「ガンダムがある施設だ」ということをSNS広告でアピールし、集客につなげている。アクアシティお台場やデックス東京ビーチと共同でSNS広告を出稿したこともある。来ていただいたお客様が自発的にアップした、施設やイベントに関するSNSの投稿も影響力が大きい。
―― 3月14日には5階西側エリアで新しい店舗がオープンしました。
岡村 「ゴジラ・ストア Daiba」や「らしんばん」など8店がオープンした。ゴジラ・ストア Daibaは世界最大規模のゴジラ専門ショップとなっている。いずれも、インバウンドを含めた今の客層に合った店揃えを意識したものになっており、さらなる集客につなげたい。
(聞き手・編集長 高橋直也/安田遥香記者)
商業施設新聞2588号(2025年3月1日)(2面)
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