福岡空港は日本4位の旅客数(2023年度実績)を誇り、商業機能としても100店以上展開する大型空港だ。間もなく国際線の増改築事業がオープンし、免税店は約4倍になり、フードホールも新設する。さらに国内線では商業、ホテルなどを導入する複合施設も整備するなど大型投資が進む。福岡国際空港㈱執行役員経営企画本部長の野田鉄郎氏に各取り組みについて聞いた。
―― まずは福岡空港の旅客数からお伺いします。
野田 23年度は国際線が700万人を超えて過去最高、国内線は約1800万人でコロナ前とほぼ同等だった。トータルで2500万人を超えて過去最高を記録し、さらに24年度はこれを上回るペースで伸びている。国内線もコロナ禍前を上回る旅客数で推移しており、国際線はおそらく800万人台になるだろう。
―― 国際線の増改築工事が間もなく完了します。
野田 国が滑走路の増設事業を実施しており、これが3月20日に供用開始される。これに伴い国際線の増改築を進めており、3月28日にグランドオープンする。整備前の国際線ターミナルは延べ約7万3000m²だったが、整備後は延べ13万6000m²に拡大する。商業機能では免税店やフードコートを設け、従前、免税店は約1500m²だったが、約6000m²まで広げる。これまでの約1500m²という規模は、99年に国際線ターミナルが供用開始した際のキャパシティに合わせて作っており、当時の国際線旅客数は約390万人の想定だった。これが現在は700万~800万人を受け入れており、48年には国際線旅客数を1600万人とする構想なので、将来的なキャパシティの増加にも対応する。
―― 免税店エリアはどのようなものになりますか。
野田 ウォークスルー型の免税エリアとし、出国審査場を抜けてすぐの場所に配置するため、買い物を楽しみながらコンコースを移動していただける。広さが4倍になるため取り扱う商品、ブランドも拡充し、国内空港初出店のブランドも複数誘致した。このうちファッション系はジャパンブランドのブランドブティックを充実させた。
―― 空港免税店で日本ブランドを軸にするのは珍しい取り組みと言えます。
新たな免税店エリア(イメージ図 出所:(株)船場、梓設計・HOK・西日本技術開発 共同企業体)
野田 一般的に空港免税店といえば海外のハイブランドを想起するが、福岡空港はオンリーワンでありたいと思っている。また東アジアの拠点空港となることを目指しており、東アジアや東南アジアではジャパンブランドの人気が高い。このため「ISSEY MIYAKE」「KENZO」「ONITSUKA TIGER」などに出店していただく。エリア内は天井高11mと開放的で、内装は和と福岡らしさをイメージしている。中央には八女提灯、博多織、酒樽からなる櫓を設置した。
―― 新しいフードコートについても教えてください。
野田 「HAKATA FOOD HALL」として約300席のゾーンを設ける。こちらも福岡らしく博多の屋台街をイメージした設えで、ウォークスルーの免税店と連続するように配置する。8店構成で、うどん、豚骨ラーメン、もつ鍋など九州の食を集めた。行列ができるうどん居酒屋「釜喜利うどん」、福岡を代表するもつ鍋店の「元祖もつ鍋 楽天地」など、市中の人気店に出店していただくのも特徴だ。飲食関連でいうと、保安検査場通過前エリアに総合レストランの「ROYAL キャフェテリア MIYABI」も3月28日オープンする。出発する方、お見送りする方など幅広い利用を見込む。
―― 福岡空港は都心に近いことで知られます。これは空港運営にどう作用しますか。
野田 強みでもあり、課題でもある。旅客利用にとっては利便性が高く強みになるが、近いがゆえに余裕をもって早めに到着する方だけでなく、直前まで博多や天神で過ごす方もいる。そうなると空港の滞在時間が短くなり、店舗に立ち寄る時間もない。この課題をどう改善するかというと、魅力ある店舗を誘致したり、空港の魅力を上げるしかない。
―― 国内線では複合施設を整備していますが、魅力向上につなげる考えですか。
野田 つなげたい。27年に国内線エリアに商業やホテルで構成する複合施設が完成するが、旅客に限らず、地域住民や福岡にお住まいの方、さらには九州各県の方が訪れる施設にしたい。まだ詳細は検討中だが、足元需要に対応してスーパーなども導入する。先ほど話したように福岡空港は都心に非常に近く、これをアドバンテージにしたい。
―― 福岡空港が目指すビジョンは。
野田 東アジアのトップクラスの国際空港を目指し、48年の旅客数は3500万人とする構想だ。福岡空港は日本で最も東アジア、東南アジアに近い国際空港で、フライト6時間圏内の人口は約30億人に上る。また別府、阿蘇など九州を代表する観光地も2時間圏内でアクセスでき、こうした立地を活かして九州全体の発展に寄与したい。加えて、国内線で整備中の複合施設により飛行機を利用する人以外も楽しめる場所にしたい。休みの日に空港に遊びにいって、食事も、エンターテインメントもあるような場所を目指す。
(聞き手・編集長 高橋直也)
商業施設新聞2588号(2025年3月18日)(1面)
デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.461