夏を迎え、経済・スポーツ界が動き出しているのを実感する。もちろん新型コロナウイルス感染症拡大に十分に注意を払いながらではあるが。7月から8月にかけて横浜武道館、CAセガジョイポリスのマーダーロッジ、バンダイナムコアミューズメントのガシャポンのデパートなどが相次いで開業し、報道機関向けのお披露目に参加した。アミューズメント(AM)の楽しさや、武道の力でコロナ感染拡大と騒ぎを吹き飛ばしてもらいたいものだと感じた。
横浜武道館(観覧席数、武道場:約500席、アリーナ:約3000席)は、7月24日に開館した。それに先立つ7月18日には、2階アリーナで開館記念式典が催され、柔道家の野村忠宏氏(60kg級でアトランタ、シドニー、アテネ五輪で柔道史上初の3連覇)による開館記念演武と、横浜市武道連絡協議会による横浜武道合同演武会が披露された。
報道カメラマン用の最前列から見ることができた野村氏は、意外に小柄に見えたが、演武では大男を投げ倒し、柔よく剛を制す柔の道を体現していた。コロナ感染防止のために、柔道家は演武挨拶と同時にマスクを着用し、マスク着用での柔道を見たことがない観客席は笑いでどよめき、野村氏自身も照れ笑いをみせた。演武とはいえ激しい投げ込み、打ち込みで、まるで世の中で嫌われる感染菌ウイルスが床にたたきつけられているように見え、すっきりした気分を味わえた。
式典の後には、10の武道(柔道、剣道、空手、合気道、居合道、相撲、少林寺拳法、日本拳法、なぎなた、弓道)の合同演武会が横浜市武道連絡協議会によって披露された。「武道とは10もあるのか。これだけ多くの武道が集まれば、コロナウイルスを退治して現在の社会問題を解決できるのではないか」と、その数の多さに感嘆してしまった。
一方、CAセガジョイポリスは、東京・台場で運営する屋内型テーマパーク「東京ジョイポリス」内で、3Dサウンドホラーアトラクション「MURDER LODGE(マーダーロッジ)」を7月23日から営業している。1996年に登場した名作ホラーアトラクションで、約21年ぶりに復刻登場した。報道機関向け体験会に参加したところ、暗闇の中で視覚を遮られた室内で、より聴覚が鋭敏になっているところへ、立体音響技術と演出装置の効果で、恐怖体験がより増幅する仕組みになっていた。主催者側から「詳しい内容は報道しないで」と“ネタバレ”を止められているので詳しくは書けないが、今も色褪せない名作ホラーである。もし、新型コロナウイルスがジョイポリスへ来れば、背筋の凍るようなこのホラー体験によって退散するのは間違いないと感じた。製作担当者に「なぜ21年ぶりの復活なのか」と尋ねると、「これだけ時が経てば、当時楽しんでくれた世代が子どもの親になっていて、子どもたちと親が語らいながら楽しんでくれる」と話す。1996年当時は新宿ジョイポリスで営業し、「マーダーロッジ」におよそ5万人が来場したと推定される。「当時はまだインターネットがなく、アナログ媒体や口コミしか伝達手段がなかったが、今はデジタル媒体で評判が拡散される。当時の10倍以上の来場者を期待できる」と主催者側は述べる。
バンダイナムコアミューズメントは、新業態のカプセルトイ専門店「ガシャポンのデパート」を、8月1日から「横浜ワールドポーターズ」(横浜市)、8月8日からは「キャナルシティ博多」(福岡市)で営業している。「ガシャポンのデパート」は、バンダイナムコアミューズメントが企画・運営・プロデュースするカプセルトイ専門店で、日頃から新しい商品を探しているカプセルトイファンの“ガシャポン活動(ガシャ活)を豊かにする”をコンセプトに、デパートと呼ぶにふさわしい2200面設置と商品構成を展開している。私が子どもの頃には、「がちゃがちゃ」と呼んで楽しんでいた機器の現代版である。昔は1回10~100円程度の料金だったが、ガシャポンは100~500円程度で、商品によって色々な価格帯がある。カプセルの中身も様々で、流行りのうんこのおもちゃや、レトロ調包装のエコバッグ、アニメや人気キャラクターなど様々な物を形どったフィギュアなど遊び心が満載。55歳の筆者にはかなり懐かしく、社会現象になった物まで商品化され、声を出して笑ってしまうほど楽しい。数年後には、新型コロナ環境下で必需品だったマスク(アベノマスクや手作りマスク、スポーツマスク、水色の中国製マスク)が時代の足跡を残すようにカプセル入りする日が来るのではないだろうかと想像する。