商業施設新聞
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No.739

ロッテと新世界がホテル業で激突


嚴 在漢

2020/1/14

 韓国流通業界でトップ争いを展開するロッテと新世界。そんな両者だが、2020年は釜山と済州島でホテル市場を巡り、熾烈な競争が予想されている。デパートと大型ディスカウント店などで競合するロッテと新世界は今後、ホテル業界にまで主戦場が広がっていくと予測されており、その行方に関心が集まっている。

 「ロッテホテル済州」は19年10月末付で、リニューアル工事のため代表的なレストラン3店を閉めた。ロッテホテル側は「開館20周年を迎えて、より良いサービスを提供するために、リニューアルしている」という。20年は同ホテルの開館20周年にあたり、また済州島中文地域にライバルと目する新世界の強力な競合ホテルがオープンする年でもある。

 済州島では、中文団地内の「ケンジントン済州ホテル」が19年5月に営業を終了し、その敷地に新世界朝鮮ホテルが新しいホテルを開館するために、リモデリング工事を行っている。隣のホテル敷地まで拡張して工事していることから、客室規模はさらに大きくなる見通しだ。中文団地内に新しい特級ホテルがオープンするのは、5年ぶりのことである。同ホテルは、済州島の特級ホテルの代表格である済州新羅ホテル(429室)とロッテホテル済州(500室)に次ぐ特級ホテルとなり、新世界の新しいホテルと既存2ホテルとの間隔は、直線距離で400~500m程度。徒歩では10分以内で移動が可能だ。

 なお、ロッテホテル済州は、飲食店のリニューアルに続いて、20年1月には温泉施設も新しくオープンする。プレミアム・アンチエイジングに焦点を合わせた「V温泉」でアピールする戦略だ。

釜山海雲台にそびえるLCTランドマークタワー
釜山海雲台にそびえるLCTランドマークタワー
 また、釜山にも海雲台に新しいホテルが続々と開館する。ロッテホテル最高級ブランドの「シグニエル」2号店が20年6月にオープンする予定で、海雲台のランドマークであるLCTタワーに入居。同ホテルは、LCTランドマークタワーの3~19層にテラス客室形態で展開する。

 一方、新世界朝鮮ホテルは、ノボテル釜山の建物を賃借してリニューアルオープンする予定で、早ければ20年上半期に開館する見込みだ。新世界は海雲台の西端の冬柏島に位置する「ウェスティン朝鮮ホテル釜山」に次いで、海雲台に2つ目のホテルを保有することになる。

 釜山市によれば、海雲台海水浴場には19年6~8月の夏季シーズンだけで総勢1120万人が訪れ、観光客数で第2、3位である広安里(835万人)と松島(674万人)を大きく上回っている。現状では、海雲台エリアで最新施設を備えた「パラダイスシティ釜山」(532室)は、毎年7~8月シーズンの客室平均予約率が90%を超える。

 ロッテと新世界は、デパート、アウトレット、大型ディスカウント店など、韓国流通業界における出店競争を繰り広げてきた。デパートの出店が鈍化した10年以降は、利川、驪州、釜山などでプレミアム・アウトレットの分野で競争を続けている。

 ホテルビジネスの競争においては、新世界グループが後発である。新世界朝鮮ホテルは「ウェスティン朝鮮ホテルソウル」や「ウェスティン朝鮮ホテル釜山」などを運営しているが、独自ブランドでの運営は1カ所しかない。韓国国内に20館、米日露・ベトナムなどに12館のホテルを展開するロッテホテルに比べると、新世界のホテル事業はまだ初期段階といえよう。

 だが、新世界は、20年に済州島と釜山など2カ所以上にホテルを開館する計画があり、これらの新ホテルは独自ブランドとする可能性が高い。新世界は19年3月、「グランド朝鮮」、「朝鮮パレス」などを韓国特許庁へ商標登録していることから、何かしらの動きがありそうだ。

 このように、ロッテと新世界は韓国ホテル業界で威信をかけたビジネス展開を繰り広げていく。ただし、ホテル業界トップという「面子」を意識しすぎたばかりに、ホテルの「需要」を綿密に検討したのか疑問が残るという見方もある。韓国のホテル業界ではここ数年間、無数のホテルが乱立し、需要より供給が上回る事態となっているだけに、今後の行方に目が離せない状況が続く。
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