米国オハイオ州政府経済開発機構と日本貿易振興機構(ジェトロ)の主催による米国オハイオ州投資セミナーが、9月10日に東京都内のジェトロ本部で開催された。オハイオ州知事のマイク・デワイン氏が基調講演し、広くオハイオ州への投資を呼びかけた。
オハイオ州は五大湖地域に属し、南部ともアクセスの良い地理的優位性を持つ。このため、古くから鉄鋼業や化学工業など様々な製造業を育んできた。これら伝統的な産業に加え、近年では、製造業におけるAI・IoTの活用、自動運転の実用化、水素などによる発電、先進的な医薬品・医療機器など、新技術を用いたビジネスでも注目されている。米国最大の車両試験場もあり、ホンダが進出して40周年を迎えた。ヘルスケア、バイオテクノロジー産業も集積しており、全米トップレベルの病院が16もある。
デワイン知事は、オハイオ州で生まれ、オハイオ州で育っており、群知事、上院議員なども務めた。基調講演では、知事はこれらのオハイオの状況を説明し、「オハイオで投資、ビジネスをしてください。オハイオ州は潜在的、長期的パートナーとなることを約束する」と締めくくった。
次にオハイオ州経済開発公社代表のJ.P.ナシーフ氏が「オハイオ州の投資環境」のテーマで講演。日本とオハイオ州との関係性や公社の役割などについて説明した。オハイオ州の都市と日本の都市とでは、18カ所で姉妹都市関係を結んでいる。オハイオ州内には1万200人の日本人が生活しており、また25の大学で日本語が学ばれている。オハイオ州では49カ国の企業が投資をしており、24万4000人以上の労働者を雇用している。その中で日本は新規雇用数と資本投資において、一貫してオハイオ州の国際投資トップ国となっている。
続いてジェトロシカゴ事務所のラルフ・インフォザート所長とディレクターの橋本翼氏が、米中西部とオハイオの概況について講演した。
インフォザート所長は「オハイオ州はラストベルトではない」と強調。経済が堅調であることを説明した。米国中西部では、日系企業は主にミシガン州に集まっているが、ホンダがオハイオ州に拠点を有しているため、オハイオ州にR&D拠点を設ける日系企業も見受けられるとした。
オハイオ州で活躍する日本企業を代表してTHK Manufacturing of America, Inc.代表取締役社長の杉本敏行氏、花王(株)コンシューマープロダクツ事業部門・欧米事業統括部門統括執行役員の田中悟氏、日立ヘルスケアアメリカズ 社長兼CEOの谷口恭彦氏が講演。それぞれの企業の概要や進出の経緯、進出後の状況などについて説明した。