中国の太倉市人民政府主催による中国太倉投資環境説明会が、7月21日東京都内で開催された。来日した太倉市人民政府の胡捷副市長が挨拶するとともに太倉市の概略や投資環境などについて説明し、広く投資を呼びかけた。
太倉市は、江蘇省蘇州市に属しており、総面積は810km²、総人口は103万人。南は上海、東は揚子江に隣接。沿海経済ベルトと長江デルタ経済圏の二重の中核に位置している。
太倉港は、国務院が承認した中国Aクラスの港となっており、国内外200本の航路がある。世界30位のコンテナ港で、日本にも12の港に直行便がある。
太倉市は長い工業発展の歴史があり、工業企業は約1万2000社、2018年の工業生産高は2220億元となっている。また、対外開放の最前線となっており、外資系企業は1500社以上、世界トップ500社企業のうち25社が進出している。ハイテク産業の売上高の比率は47.7%、新業種の売上高の比率は55.5%で、中国における新型工業化産業の模範基地となっている。
国家レベルの経済技術開発区である太倉経済技術開発区は、計画面積144km²で、長江に面した海岸線が38.8kmある。開発区、保税区、第一類港湾があり、開発区には6カ所の産業園区が所在。世界トップ500社のうち19社が進出、日本企業も22社が進出している。
省レベルのハイテク産業開発区である、太倉ハイテク産業開発区は太倉市の中心市街市に位置しており、総面積は116km²。中国におけるドイツ系企業が最も集中している開発区で、自動車部品・先端設備の製造産業が集積している。
太倉市には172社の日系企業が進出しており、85%が製造業となっている。総投資額は17.7億ドルで、輸出入総額は17.6億ドル。多くの中小企業が賃貸工場による進出からスタートしており、その後自社工場建設に至ることもある。一例として、日精樹脂工業は09年にレンタル工場で進出しており、15年に土地を購入。19年に4000m²の自社工場を建設した。
また、太倉市(日中)科学産業園区の開発も進めている。開発面積37万m²、建屋面積50万m²を設備する計画。平屋建ておよび多層階の工場があり、安価で入居が可能。また、十分な土地もあり、土地を購入して工場を建設することも可能である。
胡捷副市長は「新しい時代に一緒に発展し、新しい未来を構築していきましょう」と語り、講演を締めくくった。
次に、太倉経済開発区張培明副主任が同開発区を紹介した。
同開発区は江蘇省の対外貿易の最大の港である太倉港があり、長江と上海市に隣接という立地利点を抱えている。開発区、総合保税区、一類港と3つの国家レベルプラットフォームを整備。20年に物流貿易収入1000億元を実現するため、港水上輸送運営センター、大口商品現物取引センター、ブランド物流貿易決済センター、オフィスビル経済革新創業センターの4つのセンターを構築する。また、新材料産業パーク、新エネルギー産業パーク、スマート装置産業パーク、重大装置産業パーク、国際貿易物流パーク、太倉港総合保税区の6大産業パークを整備。太倉港総合保税区、同経大学太倉ハイテク研究院、太倉生物港、欧米ハイテク産業パーク、玖龍スマート装置産業パークの5つの特別キャリアが用意されている。
進出企業を代表して、まず多摩川精機(株)常務取締役、元太倉日系企業協会会長の松尾忠則氏が、多摩川精機の概要や太倉市に進出している多摩川精機蘇州の概要について説明した。多摩川精機は09年に太倉市に進出。当初2棟の工場を借りてスタートしたが、現在はさらに2棟の工場を借り増している。現在では、中国国内で完結するビジネスを構築している。
続いて、三井E&S造船(株)の古賀哲郎社長が、8月1日から太倉市でスタートする合弁会社の設立の経緯や、進出した背景などについて説明した。