商業施設新聞
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No.718

韓国、百貨店の家電売り場が復活


嚴 在漢

2019/8/13

 韓国の百貨店における家電製品売り場が好調だ。これまで家電を家電量販店で購入していた人たちが、品質の高さとサービスの良さに満足できる百貨店に足を運ぶ流れになっており、それに伴って売上高も大きく増えている。

 こうしたなか、百貨店大手3社は家電売り場の面積を拡大し、顧客の目に付きやすい場所に商品を配置している。従来、百貨店の主力であったファッション関連の売り上げ減少を穴埋めすることはもちろん、新しい消費パターンになりつつある。そして、2019年に入ってから韓国大手百貨店の家電売上高がさらに大きく伸びている。ロッテ百貨店をはじめ、現代、新世界など百貨店大手3社は、1~5月累計の家電売上高が前年同期比で20%強増加しているという。特に、現代百貨店の増加率は同30%にも迫る勢いである。この結果、1~3月期の韓国百貨店全体の売り上げ増加率は0.5%増となった。海外商品とともに、家電が百貨店売上高のマイナス成長を防いだといえよう。

 百貨店の家電売上高の増加は「新家電」といわれる乾燥機や衣類管理機などが牽引した。現代百貨店が19年元日から6月25日まで、品目別の前年同期比の売り上げ増加率を調査した結果、乾燥機(128%)、衣類管理機(81%)、無線掃除機(76%)、空気清浄機(72%)などの順となった。また、TV、冷蔵庫、洗濯機などの家電も10%台の増加率を記録した。

高級感溢れるロッテ百貨店本店8階の家電売り場
高級感溢れるロッテ百貨店本店8階の家電売り場
 「百貨店の家電売り場の復活は、消費パターンの両極化というトレンドと合致している」と、韓国の流通専門家らは分析している。特に、価格によって心理的な満足感が重視されるプレミアム製品は、百貨店で購買する現象が顕在化している。例えば、50万~60万円台の有機EL-TVやQLED-TVなどの高額製品は、百貨店で買うべきという心理が作用しているという。家電製品が高級化し、このようなトレンドはさらに強まるとともに、「百貨店の品物は良い」という認識も広がっている。実際、多くの家電は百貨店と家電量販店やオンラインで異なるモデルのものを販売している。

 加えて、大手3社は家電売り場に対する投資を拡大している。ロッテ百貨店本店(ソウル市中区小公洞)は最近、全館リニューアル工事を完了したが、家電売り場に最も力を入れた。4月にリニューアルオープンした家電売り場には、サムスン電子とLG電子製の売り場を従来の2倍強拡大した。先日、ロッテ百貨店本店を訪れた筆者は、8階に設けた家電売り場を見て驚いた。まず、売り場の広さと、まるで高級ホテルに来ているような高級感溢れるインテリアやトイレなど、購買を促すような仕組みが施されていた。なるほど、このような販売努力が功を奏し、最近の売り上げ増大につながるわけだ。また、新世界百貨店江南店(ソウル市江南区)は、名品売り場の真ん中に家電売り場を設けるという異例の策を講じている。さらに、現代百貨店はサムスン電子と協力してプレミアム製品売り場を拡大している。

 百貨店の家電売り場が活力を取り戻している反面、家電量販店はオンラインに市場を蚕食されている。韓国量販店業界トップのロッテハイマートは、19年1~3月期の営業利益が前年同期比で約41%減少している。オンラインに対抗するために販売価格を下げたり、販促イベントなどを増やしたりしたことが、業績悪化につながった。ロッテハイマートは、従来の売り場をプレミアム家電売り場に転換し、高級化しつつある最近のトレンドに応えていく計画だ。

 韓国の百貨店で家電売り場が復活するという現象は、高級品や良質のサービスという百貨店の戦略が消費者の購買意欲を引き出すことにつながったと言える。今後の消費形態の行方が実に興味深いのである。
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