価値開発(株)(東京都千代田区岩本町1-12-3、Tel.03-5822-3010)は、全国で「ベストウェスタン」(BW)などのホテルを展開、運営している。近年は新ブランドの開発にも取り組み、幅広いニーズに対応することで着実にファンを獲得するなど勢いがある。また、2019年度(20年3月期)は一時出店を抑制し、再度20年度(21年3月期)から積極的な出店をスタートさせ、目標とする「20年度にホテル数30店」のクリアを目指す。同社専務取締役ホテル事業本部長の杉本邦洋氏に聞いた。
―― 現在のホテル数、客室数など。
杉本 当社は全国で「ベストウェスタン」を17店(直営12、フランチャイズ5)、東北エリアで「バリュー・ザ・ホテル」を6店、愛知県で「衣浦グランドホテル」1店の計24店、3883室を展開している。BWは、エコノミーからファイブスターまでを揃えたワールドホテルチェーンブランドで、世界基準で規定されたサービスをどこの国でも享受できる安心感を強みとしている。
バリュー・ザ・ホテルは、主に東北大震災の復興工事に関わるお客様をメーンターゲットとしていたが、復興工事も収束に向かっているため、スポーツ団体や、教習所の合宿時の宿泊施設としての利用といった新たなセグメントの獲得に着手している。また、客室はコンバージョンを行い、これまではシングルのみだったが、ツインルームの比率を増加させている。
―― 18年度は新ブランドも開業した。
杉本 18年6月には、日本1号店となる「ベストウェスタンプラス」ブランドを北海道・千歳に、19年2月には、大阪・北浜に2号店を開業した。「ベストウェスタンプラス」はスタンダードラインの設備に加え、フィットネスルームや、広々としたロビースペース、さらに上級ラインのマットレスなど、1ランク上の設備を備えたブランドライン。開業時のイニシャルコストはかかるが、エリアごとにベンチマークとするホテルは「ベストウェスタンプラス」の展開も行っていく。
また、新ブランドとしては18年12月に「シュアステイプラスホテル byベストウェスタン新大阪」(大阪市淀川区)もオープンした。元々運営していた「新大阪ホテル」をリブランドしたもので、アジアでは2店目の誕生となった。
―― 今後の出店は。
「ベストウェスタンプラスホテル
フィーノ福岡天神」のイメージ
杉本 19年度は新規出店の予定はない。これは、20年度に4店の新規出店を予定しているため、準備期間としたいと思っている。また、ここで一度立ち止まり、オペレーションやマネジメント強化の時間とする。とはいえ、既存ホテルのコンバージョン、業務委託の依頼案件などは随時持ち込まれており、オーナー様と当社の考えが一致した際は、出店があるかもしれない。
そして、20年度はBWブランドで20年春開業予定の「東京赤坂」(東京都港区)、5月開業予定の「新横浜」(横浜市港北区)、7月開業予定の「札幌」に加え、「ベストウェスタンプラス」で6月開業予定の「福岡天神」(福岡市中央区)を計画している。特に福岡天神は200室を超えるグループ最大規模のホテルとして、旗艦店と位置づける。いずれのホテルも駅から近く、アクセスが良いため、レジャーやビジネスなど幅広い用途、お客様に対応できると考えている。
―― 開発で注目するエリアは。
杉本 当社のホテルはインバウンドのお客様が多いため、観光客が多くいらっしゃるという側面から名古屋駅周辺、京都駅周辺、沖縄の那覇市中心部などが挙げられる。また、都内では西エリア(新宿、渋谷、原宿)などのまだ出店できていないエリアにも関心がある。
―― 今後のブランド展開について。
杉本 新築では「ベストウェスタン」「ベストウェスタンプラス」を、コンバージョンホテルは「シュアステイプラス」で当社の既存ブランドと差別化を図るなど、現状はこの3ブランドを中心とした店舗展開を想定している。なお、希望としては将来的に、トップラインである「ベストウェスタンプレミア」を日本国内で展開したいという考えは持っている。
―― 今後の目標は。
杉本 以前から掲げている「20年度までにホテル数30店」という目標については、現段階で既存店+フランチャイズ+新規案件で28店が確定しており、残り2年で2店は十分対応できる時間があり、これは達成できそうだ。
また、既存のBWブランド以外に「ベストウェスタンプラス」「シュアステイプラス」を開発したので、これをステップとしてさらなる展開へ取り組んでいきたい。
(聞き手・若山智令記者)
※商業施設新聞2294号(2019年5月14日)(7面)
インバウンド4000万人時代 ホテル最前線 キーパーソンに聞く No.42