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中小型FPD「19年は我慢比べの年」


~「第37回 IHSディスプレイ産業フォーラム」開催(1)~

2019/6/7

シニアディレクター 早瀬宏氏
シニアディレクター 早瀬宏氏
 大手調査会社のIHSマークイット(テクノロジー部門)は、7月25~26日に国内最多の受講者数を誇るFPD市場総合セミナー「第37回 ディスプレイ産業フォーラム」を東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)で開催する。本稿では注目の講演内容を登壇アナリストに聞く。第1回は「中小型FPD&アプリケーション市場」を担当するシニアディレクターの早瀬宏氏に伺った。


 ―― 2019年の中小型FPD市場見通しは。
 早瀬 もともと不確定要素が多かったが、ここにきて混沌の度合いをさらに増している。ポジティブな要素はほとんどなく、どれくらいの下げ具合になるのか、これから慎重に見定めなければならない。

 ―― 最も大きな不確定要素は米中摩擦ですね。
 早瀬 当初からスマートフォン(スマホ)市場の低迷が予測されていたことに加え、米国の関税引き上げやファーウェイに対する輸出規制でますます先が読めなくなった。中国の対応措置でアップルにも関税がかかるわけで、従来にない下げ幅になるというワーストケースを想定しておく必要もある。

 ―― こうしたなかでスマホ市場のトレンドに変化はありますか。
 早瀬 中国FPDメーカーの有機EL供給率が上がってきており、液晶から有機ELへのシフトは着実に進むだろう。ただし、関税引き上げでハイエンドスマホの需要はさらに弱まる。スマホ市場では近年、プレーヤーがどんどん少なくなり、アップル、サムスン、中国大手メーカーにほぼ絞り込まれた。ハイエンド市場が期待しづらいうえに、パネルユーザーが貿易摩擦の中心にいる中国勢に限定されてしまったことが、低迷に拍車がかかることにつながってしまっている。

 ―― 残念ながら、フォルダブルは「仕切り直し」の状態になりました。
 早瀬 報告されたような不具合がなぜ事前に見つけられなかったのか不思議だが、より慎重に市場を見ざるを得なくなった。フォルダブルスマホメーカーは意地でも商品化するのだろうが、もう失敗できない。以前から指摘しているが、既存のスマホに比べて耐衝撃性や摩耗に弱いのは明らかであり、そう簡単にこれらの課題を解決するのは難しいのではないか。

 ―― 中小型市場を牽引してきた車載用にも影響が及びますね。
 早瀬 需要枚数は前年比プラス成長になるだろうが、生産台数にブレーキがかかっており、当初の期待ほど伸びない。仮に米中摩擦が決着したとしても、次は日本と欧州がターゲットになる可能性があり、楽観視できない。パネル仕様にしても、LTPSが新モデルに採用され増加しつつあるが、コストや性能面からアモルファスで十分対応可能で、大きな変化が起きる年には当たらない。

 ―― 電子ミラーは伸びが期待される用途です。
 早瀬 普及にはまだ時間がかかりそうだ。コスト、デザイン面や機能面からの訴求力、法整備などを含めて考えても、まだ新モデルのオプションという扱いで、将来性は高いが今年から一気に普及という局面にはない。

 ―― 市場にポジティブな要素はありませんか。
 早瀬 かろうじてスマートウオッチに伸びしろがあるものの、パネルサイズが1~2インチであり、サプライチェーンに大きな影響はない。
 19~20年は「我慢比べの年」になる。需要が冷え込むなかで、サプライチェーンの見直しと供給能力の最適化が不可欠になっており、高すぎる有機ELへの期待値や、ここ数年のLTPS/有機ELへの過剰投資も是正されるべきタイミングではないか。その証左が台湾CPTの破綻やジャパンディスプレイの苦境に表れており、同様のことが他のFPDメーカーに起きることも十分考えられる。

 ―― この市況を乗り切る方法は。
 早瀬 パネルメーカーとしては、セットメーカーが考える機能をディスプレー技術とどう融合させて、きっちり受注を確保できるかが重要。例えば、近年のスマホはノッチ形状の多様化もあって、機種ごとにパネルの仕様が異なりすぎ、コストも下がりづらくなっている。最先端パネルを量産できるサムスンですら、足元は赤字だ。生産能力や設備投資、パネル仕様も含めた「最適化」が今こそ求められている。

(聞き手・編集長 津村明宏)



「第37回 IHSディスプレイ産業フォーラム」の詳細情報はセミナー事務局(E-mail : technology.events@ihsmarkit.com、Tel.03-6262-1824)まで。
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