本コラムは今回で記念すべき第700回を迎えた。時を同じくして、熱海後楽園ホテルの再開発開業や、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の公開を記念したソニースクエア渋谷プロジェクト(東京、渋谷モディ)での催事の取材が重なった。熱海後楽園ホテルの記者発表会にゲストとして登場した中村アンさんと、渋谷モディで映し出されたスパイダーマンが、本コラムの700回目を祝ってくれているかのような時節の重なりを感じた。
(株)東京ドーム(東京都文京区)は、熱海後楽園ホテルを中心とする複合型リゾート「ATAMI BAY RESORT KORAKUEN(アタミ ベイ リゾート コウラクエン)」(静岡県熱海市和田浜南町10-1)を3月28日に開業した。相模灘を一望できる日帰り温泉施設「オーシャンスパFuua(フーア)」は、海に浮かんでいるような浮遊感を味わえる露天立ち湯や、「海辺の別荘ライフ」をテーマにした休憩エリアなどを備え、温泉地熱海の新しい過ごし方を提案する。
熱海後楽園ホテルを再開発し、日帰りで楽しめる街にするため、同地の新しい楽しみ方を提案する“おでかけ熱海プロジェクト”を開始。女優の中村アンさんがアンバサダー(大使)に就任した。中村アンさんは、2月に東京ドームホテルで開かれた記者発表会に現れ、「立ち湯でのCM撮影のため同施設を訪れた。立ち湯は、大きな海との一体感を味わえ、癒される。飽きずにずっと居られる。一人で行っても楽しめるし、女子会にも最適。画像や映像だと生の良さや迫力が伝わらないので、実際に行って体感してほしい。だまされたと思って本当に行って。後悔させません」と、実際に出かけることを熱く薦めた。
相模灘を一望できる日帰り温泉施設
「オーシャンスパFuua(フーア)」
本コラムが始まった12~13年前には、熱海は観光客が減り続け苦悶していたころだろう。ところが、ここ数年は観光の客足が復活し、ホテル建設も増えている。地元企業や商店街の努力で、熱海プリンや毒饅頭などのお菓子も大ヒットし、多くの客を呼び込んでいる。日帰り温泉施設「オーシャンスパFuua(フーア)」も多くの観光客を呼び入れることは間違いないだろう。
またソニーは、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』(3月8日から全国ロードショー)の公開を記念し、東京の渋谷モディ1階のソニースクエア渋谷プロジェクトで、「The『スパイダーマン:スパイダーバース』Experience」を5月6日まで開催している。同映画は、先行してアメリカで2018年12月に公開され、シリーズ史上初となるゴールデン・グローブ賞アニメーション作品賞を受賞し、話題となっている。すでに公開されている各国では、メディアや著名人から「スパイダーマン映画史上、最高傑作!」との大絶賛コメントで溢れている。渋谷プロジェクトの企画では、横幅約4mの大画面に『スパイダーマン:スパイダーバース』の特別映像が映し出され、ソニーの触覚提示技術(ハプティクス)を使用した映像に合わせて振動する床と、7.1chのサラウンドスピーカーによる没入感と迫力ある体験ができるコンテンツを提供している。
3月23日から開始した新コンテンツ「Motion Game by Xperia Ear Duo」では、内蔵センサーを活用したモーションセンシング技術を組み合わせることで、迫力あるスパイダーマン体験を実現する。
筆者は、ソニーを本コラムが始まる以前から取材している。時の流れとともに、映画や保険、電子部品が同社の稼ぎ頭へと変わっている。古くからのソニーファンは「ウォークマンを世の中に送り出した精神を忘れるな」と注文を付けたがる。しかし、かつて“企業は40年寿命”という説が盛んに言われたように、それ以上に生き延び続けるには、事業の形や、企業の姿も変えなければならないのだろう。映画事業へ乗り出し、電子関連事業へ利用するのもやむを得ないところだ。
熱海プロジェクトのアンバサダーを務める中村アンさん、映画のスパイダーマンともに元気で活躍され、本コラムが800回目を迎える2年後にも、また一緒に祝いたいものである。