電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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中小型FPD「不確定要素が多い」


~「第36回 IHSディスプレイ産業フォーラム」開催(4)~

2019/1/25

シニアディレクター 早瀬宏氏
シニアディレクター 早瀬宏氏
 大手調査会社のIHSマークイットは、1月24~25日に国内最多の受講者数を誇るFPD市場総合セミナー「第36回 IHSディスプレイ産業フォーラム」を東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)にて開催する。本稿では注目の講演内容を登壇アナリストに聞く。第4回は「中小型FPD&アプリケーション市場」を担当するシニアディレクターの早瀬宏氏に話を伺った。

 ―― 2019年の中小型FPD市場の見通しは。
 早瀬 不確定要素が多いと感じている。スマートフォン(スマホ)市場ではサムスンやアップルが失速し、伸びが期待できる新興国市場では中国メーカーがイニシアチブを握る。なかでも、出荷を伸ばしているファーウェイが中心になる。ファーウェイはハイエンド機種にフレキシブル有機ELを搭載し始めており、これがどこまで増えるかが注目点の1つだ。

 ―― スマホ用パネルのトレンドについて。
 早瀬 LTPS液晶のFHDがボリュームゾーンであり、HD以下のアモルファスシリコン(a-Si)TFT液晶が採用される領域がフィーチャーフォン以外なくなりつつある。a―Siの市場縮小がさらに進むだろう。一方で、フレキシブル有機ELは、サムスン以外のメーカーが本格的に量産出荷できる年にしなければいけない。
 スマホ用パネルは、16対9から18対9へのアスペクト比変更、ノッチ形状、フォルダブルと進化が進み、次に打つ手がなくなってきたと感じている。新たに普及しそうな技術は指紋センサーくらいで、大きな革新を期待しづらい。

 ―― そのフォルダブルについての見通しは。
 早瀬 ロヨルやサムスンから発表され、従来にない新コンセプトの端末が出てきそうだ。だが、6インチのフレキシブル有機ELが100ドル程度であるのに対し、フォルダブル有機ELは200ドル前後といわれ、高価格であるため大きな出荷数量は期待できない。19年に市場が急激に立ち上がることはないだろう。普及に向けては、フォルダブルならではの利点や使い方を訴求できるアプリケーションの訴求が重要になる。

 ―― 車載用に関してはいかがでしょうか。
 早瀬 依然として需要は上昇カーブを描いているが、米中貿易摩擦の影響などもあって、当初の見通しよりも自動車の生産台数が落ちており、パネル需要もこの影響を受けるだろう。
 今後の注目点は、一部で搭載が始まった電子ミラーの普及スピードがどの程度になるかだ。3~5年後には高級車への搭載がかなり進んでいることが予想されるが、現時点で需要を予測するのは難しい。

 ―― 有機ELの採用事例も出てきましたね。
 早瀬 アウディ初の電気自動車「e-tron」がサムスン製の採用をアナウンスするなど、いくつか事例が出てきた。コントラストの良さやフレキシブル化による曲面対応などが魅力だが、液晶に比べると輝度がまだ低い。焼き付きや寿命の問題が解決したとはいえず、本格的に普及するまでには時間を要するだろう。車種によってニーズが多様であるため、逆にシンプルさを追求し、小型液晶パネルを複数組み合わせるという選択肢もあり、特定のサイズやパネルにニーズが偏ることはないと考えている。

 ―― 他の中小型アプリケーションについては。
 早瀬 ウエアラブルが市民権を得てきた。なかでも、キャッシュレス対応によってスマートウオッチの普及が進んでいる。ただし、搭載されるパネル技術は多様で、これも偏りが少なく、パッシブおよびアクティブの有機EL、TFT液晶いずれもニーズがある。
 AR/VRは使い勝手が良くなり、普及が期待されるが、まだキラーアプリが存在しない。
 いずれにせよ、ディスプレー単体で用途や需要を拡大していくのは難しく、アプリとの関連性を高めながら市場や需要を開拓していくべき時代に入ったと考えている。

(聞き手・編集長 津村明宏)



 「第35回 IHSディスプレイ産業フォーラム」の詳細情報はセミナー事務局(E-mail : technology.events@ihsmarkit.com、Tel.03-6262-1824)まで。
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