群馬県。この名前を見たとき、「スマートさ」や「新しさ」といったものを連想した人はかなり少ないだろう。2017年度の都道府県の魅力ランキングでは、群馬県は41位と最下位でこそないものの、人気があるとは到底言い難かった。しかし今、そんな群馬県の高崎市で大きな街づくりが行われており、変化が起きている。それは「東口の開発」である。現在、東口で開発が続々と計画されており、これによって駅東口駅エリア、高崎の街全体の価値も高まるだろう。
高崎市の中心部にあたるJR高崎駅は、上越新幹線が停車することもあり、県庁所在地の前橋市を差し置いて群馬県の人の流れの中心となっている。こうした駅の流入人口を背景に、「高崎モントレー」や「イーサイト高崎」、「高崎タカシマヤ」のほか、17年に西口直結で開業した「高崎オーパ」などの商業施設が集積している。しかし、これらの商業施設や店舗は主に西口に集中しており、東口では「ヤマダ電機 LABI1 高崎」がある程度で、実際に歩いてみても西口と比べると立ち寄るところがなく、地理に明るくなければ手持ち無沙汰になるほどだ。
そんな東口だが、今大きな動きがある。現在高崎駅周辺では商業にとどまらない大規模な街づくり的な開発が複数進んでおり、その多くは東口周辺で計画されている。17年4月に開業した6000人規模の「高崎アリーナ」に次いで、19年春には、「高崎芸術劇場」の開業が予定されている。2000席の大ホールを備え、ペデストリアンデッキで東口まで直結する。また20年春には、東口方面の高崎競馬場跡地で、延べ約2万m²のコンベンション施設「Gメッセ群馬」の開業も控えている。文化やコンベンション施設を充実させ、街の魅力を一気に引き上げようという計画だ。
商業や宿泊、住居開発も進行中だ。特に高崎駅周辺ではシティホテルが不足しており、国際的なコンベンションへの対応が問題となっていた。そのため高崎市は東口周辺にステータスの高いホテルの誘致を計画しており、18年度内には事業者を決定したいとしている。東口の「ホテル ココ・グラン高崎」の隣接地では、28階建て225戸のタワーマンション「ブリリアタワー高崎」が建設中だ。加えて、「高崎芸術劇場」の西側にあたる、現在ビックカメラの店舗がある地点では、ビックカメラなどの商業店舗と公共施設が入居する複合施設が計画されている。
こうした開発が進むことによって、施設の面では群馬どころか北関東一を争う規模にまで成長しそうだ。しかし、施設という「箱」ができただけでは不十分で、立派な施設にはそれに見合う中身がなくてはならない。例えば、現在高崎芸術劇場ではオープニングイベントで、群馬交響楽団など市内の音楽関係者や、市外のプロモーターと調整を進めているという。市民に密着した地元の楽団も重要だが、群馬県にとどまらない魅力を持つ施設をアピールするためには、最初の一手で大きな花火を打ち上げることも必要だ。西口の高崎オーパでは、特にファッション面で「表参道に出店するような高感度のテナントを集めた」ことを売りにしていた。これからの他の施設についても、地域密着にとどまらない広域からの集客が必要となってくるだろう。
東口の開発は、高崎の街に大きな影響を与えるほどのポテンシャルを秘める。こうした魅力ある街づくりによって「高崎愛、地元愛」を持つ人が増えれば、魅力ランキングにおいても順位アップにつながるはずだ。