広州市人民政府、日本貿易振興機構(ジェトロ)主催による「広州市投資説明会~イノベーションが導く経済協力の発展と展望~」が、7月30日に東京都内のジェトロ本部で開催された。広州市の温国輝市長の来日に合わせて開催されたもので、市長が自ら講演し、日本企業の投資を広く呼びかけた。
講演で温市長は、唐大和上東征伝を記した淡海三船や孫文の支援者である梅屋庄吉の事例を紹介。広州と日本の交流の歴史が長いことをアピールした。1979年の改革開放政策以降も日本との結びつきは強く、開放以来いち早く福岡市と姉妹都市になっている。
広州市の面積は7434km²、人口は1400万人超で外来人口を入れると2000万人を超える。GDPは3300億ドル、1人当たりGDPは2万2300ドル、平均収入は7000米ドルとなっている。
広州市には自動車産業が集積。中国で自動車生産台数が最も多い都市であり、その生産台数は年間310万台に達している。自動車本体だけでなく部品産業の集積も進んでいる。
日系企業は644社が進出。堺ディスプレイプロダクトが610億元を投じて10.5G液晶工場の建設を進めている。また、広州企業は12社が日本に進出し648万米ドルを投資している。
中国で最初のショッピングセンター、スーパーマーケットができた都市でもあり、外資系企業3万社以上が広州市に投資をしている。世界トップ企業500社のうち298社が広州に進出している。
中国政府は広州をコアシティと位置づけており、交通インフラの整備も進めている。広州空港では、5月に第2ターミナルがオープンしており、第4、第5滑走路の建設も進めている。さらに第2空港の建設も進めている。
新興産業の育成にも注力しており、ネット関連大手であるテンセントの「微信(ウィーチャット)」部門があるほか、有人ドローンの研究開発を行う「億航」などの本部がある。また、グリーン産業、イノベーション分野、近代的サービス業、カルチャー・文化産業の誘致にも注力する。
温市長は「世界の企業にとって最初に選ばれる都市を目指していく」と語り、「日本と広州との交流の歴史は深い。広州に来て、投資してほしい」と締めくくった。
進出日系企業による講演では、まずトヨタ自動車(株)常務役員兼広汽トヨタ自動車有限会社・取締役社長の魚住吉博氏が同社の概要などについて説明した。
広汽トヨタは、広汽集団とトヨタ自動車の合弁会社として04年9月に設立。ハイランダー、カムリ、レビン、ヤリス、C-HRなどを生産している。17年の生産台数は43万台で、18年は30%の拡大を見込んでいる。広州市に進出した背景としては、良質な労働力の創出、高速道路網・鉄道網の充実、政府からの温かいサポート、住みやすい環境を挙げている。魚住氏は「これからも広州市に根差した企業を目指し、引き続き温かい支援をいただきたい」と語った。
(株)みずほ銀行 中国営業推進部 白井和樹次長は、広州市経済状況や広東・香港・マカオベイエリア構想の概況を説明するとともに同行の中国進出状況などを紹介。日本航空(株)広州支店 五十嵐武支店長は、同社の旅客便および貨物便の就航状況と五十嵐氏が事務局長を務める広州日本商工会について紹介。三菱商事(広州)有限公司の田中秀和董事長・総経理は、同社の概要などについて説明した。