先日、商業施設の第一印象について考えさせられる出来事があった。インターネットでSNSの書き込みを見ていると、こんなものが目に入ったのだ。「錦糸町の『オリナス』にテナントがほとんど入っておらず、廃墟モールになっている」という。そんなバカな、と思って確認してみると、やはり書き込み主は、オリナスが現在、大規模改装中であることを知らず、改装のためにテナントが閉店している状態を見て「廃墟モール」だと勘違いしていたようだった。この話だけ見ると単なる笑い話で済むところではあるが、“商業施設のイメージ”という点では重要なことが浮かび上がる。
今秋の改装を目指し
多くのテナントが閉店中の「オリナス」
おそらく前述の書き込み主は、施設に入ってすぐテナントが大量に閉店し、人通りもまばらな状態を見て、「このモールは活気がない、廃墟だ」という印象を強く抱いた。そして、その後もこの印象に捉われていたため、施設の内外にある改装の案内にも気づかなかったというところではないか。“第一印象”というものはそれだけ強いということだ。
このことは、他の通常営業中の商業施設の“第一印象”の影響を考える上でも示唆に富む。施設に入った瞬間、「活気がない」とか「ダサい」といった印象を持たれてしまっては、その奥に高感度なテナントや、フォトジェニックを意識したデザインを用意していても注目されず、施設自体にネガティブな感情を持ってしまうこともあり得るのだ。
また近年のSNS時代では、その印象が軽率に拡散されることで、まだ訪れていない人にも同様の印象を持たれてしまうことにもつながる。不思議なことではあるが、写真を撮り、それにコメントをつけてSNSに掲載するくらいの手間はかける一方で、その対象をちゃんと確認するといった手間を惜しむ人は少なくない。
こうした事態を防ぐためにも、商業施設の入り口付近のデザイン、テナントのリーシングの重要さはいくら強調してもしすぎるといったことはないだろう。“人間は見た目が9割”というが、商業施設についても(9割まではいかないかもしれないが)第一印象は死活問題だということは認識しなければならない。