商業施設新聞
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No.653

頑張れ1年生


若山 智令

2018/5/1

 野球界では、2018年に「1年生」となった選手たちが活躍し、連日テレビや新聞を賑わせている。例えば、大リーグ1年生の大谷翔平選手は大リーグでも二刀流に挑戦し、活躍のほどは報道のとおりである。また、日本のプロ野球1年生の清宮幸太郎選手も徐々にその才能の片鱗を見せ、2軍戦ではホームランも打ち始めた。やはり若い人の活躍は嬉しいし、今年、社会人1年生となった新入社員の人たちにも頑張ってもらいたい。そして、これは商業施設に対しても同様の思いがある。筆者が特に期待しているのは、ユニーが3月末に横浜市港北区にオープンし、晴れて1年生となった「アピタテラス横浜綱島」だ。

 ご存知の方も多いと思うが、ユニーは東海地方を中心に、総合スーパーマーケット(GMS)の「アピタ」や「ピアゴ」をはじめ、スーパーマーケットなど幅広い事業を展開している。だが、昨今のGMS事業の不振、ファミリーマートとの合併、ドン・キホーテとの資本提携など、ここ数年の経営を巡る環境の変化は小売業界の中でも指折りの目まぐるしさだった。GMSでは、イオンやイトーヨーカ堂に次ぐほどの規模を誇る企業でもあるため、その動向は常に注目され、ニュースに取り上げられることも多かった。

3年半ぶりのアピタ出店となった「アピタテラス横浜綱島」
3年半ぶりのアピタ出店となった
「アピタテラス横浜綱島」
 そんなユニーが「アピタ」の冠で3年半ぶりの新店として3月末にオープンしたのが横浜市港北区の「アピタテラス横浜綱島」だ。同店は、パナソニックの事業所跡地を開発した次世代都市型スマートタウン「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」の商業施設として開業し、環境面において先進的な取り組みを行っている。そして、そのオープンにあたって開かれた記者会見で、ユニーの佐古則男社長は笑顔だった。ここ最近、ユニーにとってはネガティブな報道などもあったためか、佐古社長は厳しい表情をしていることが多かったと筆者は記憶している。だが、この日はまるで我が子の初披露のようで、自信に満ちあふれた佐古氏がいた。

 佐古氏は同店について「多頻度来店型とネット社会に対応するショッピングセンターとした」と説明。毎日でも来てもらえるよう、食料品の充実やサービス系のテナント導入に注力したそうだ。実際、訪れてみると使い勝手の良さそうなショッピングセンターという印象で、地域住民の利便性向上に一役買うだろう。

 今年も数多くの商業施設がオープンしている。その分、競争は激しくなり、無事に2年生、3年生へと"進級"していけるか読めないのが小売業界だ。だが、ここ数年苦しい思いをしてきたユニーには、今回の「アピタテラス横浜綱島」で復活の狼煙を上げてほしいと心から願っている。
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