(株)サン・ストラッセ(岐阜県関市倉知516、Tel.0575-21-0200)が運営するショッピングセンター「MAGO(マーゴ)」が、中濃地区、ひいては岐阜県内で存在感を高めている。来館者数は、開業初年度が430万人であったが、23年を経た2017年度(17年9月期)は80%増の780万人を想定。17年10月には新棟「(仮称)マーゴ・ウエスト」も開業する予定で、これにより、さらなる集客が見込まれている。今回はマーゴの礎を築いた、同社代表取締役の広瀬武男氏に話を聞いた。
―― マーゴの概要について。
広瀬 当SCは1994年9月、岐阜県中部の中濃地域に位置する関市倉知地区に誕生した。その後、店舗面積を倍増し、03年にシネマコンプレックスとアミューズメントを備えた「シネマ館」をオープン。10年には温浴施設「倉知温泉マーゴの湯」と、大型スポーツ専門店を核テナントとした「スポーツ館」を開業し、現在に至っている。なお、当SCの規模は敷地8万3000m²、総延べ5万1000m²となり、総店舗面積は3万8300m²、店舗数は96店(物販54店、飲食16店、サービス25店)を数える。
―― 同施設の特徴は。
広瀬 お客様の来館が増えている点が挙げられる。来館者数は、開業初年度の95年度(95年9月期)は430万人を記録したが、その後はリーマン・ショック時と東日本大震災時を除き、毎年伸び続けており、17年度は780万人を見込む。このように、お客様に長く支持され続けているのは、当社が一つひとつの施設に多くの時間を費やし、作り上げているためだ。また、当社がテナントに親睦の機会(旅行やパーティーなど)を提供しているため、従業員同士のつながりが深く、テナント間の交流も多い。
内装やテナントにもこだわりがある。「イオン関店」や専門店が出店する本館では、本通りや裏通りを設け、お客様が楽しんで回遊していただけるような施設づくりを行っている。テナントも幅広い業種に出店していただき、お客様が欲するものを満遍なく取り揃え、使い勝手の良い店舗も数多くある。
さらに、当SCでは「マーゴキッズくらぶ」を実施しており、0歳児を対象とした「はいはいコンテスト」や、1歳児を対象とした「一升餅背負いレース」などのイベントを開催。同くらぶの会員数は1万5000人を数え、子供だけでなく、両親や祖父母も来館するため、非常に盛り上がるイベントとして定着している。
―― 新棟の開業を予定している。
広瀬 当SCの西側にある土地で、新棟「(仮称)マーゴ・ウエスト」の建設を進めている。2万5000m²の敷地に、総延べ8580m²の施設を建設。物販棟1棟と、飲食店棟5棟の計6棟で構成され、総工費は15億円を見込む。
新棟では関市、郡上市、下呂市、美濃加茂市、高山市に出店していない全国チェーンの店舗を誘致し、お客様に“小さな都会”を楽しんでいただくことをコンセプトとして掲げている。具体的には、物販棟に「ドン・キホーテ」と「ニトリ」が出店し、飲食店棟には「スシロー」「サガミ」「鳥貴族」などの有力外食チェーンがテナントとして入居する。また、物販棟の1階には、(株)アクトスがスポーツクラブ「アクトスWill-G」を出店する予定だ。
―― 開業効果や既存施設とのシナジーは。
広瀬 新棟が開業することで、マーゴでお買い物をするお客様はさらに増えると予想している。立地する関市はもちろんのこと、郡上市、下呂市、多治見市、瑞浪市など、岐阜県内のお客様に多数来館していただき、週末には名古屋市からも集客したい。既存施設とのシナジーに関しては、ポイントカードとの連携が挙げられる。当社のポイントカードはイベントに参加できるほか、本館の3階にあるVIPルームでは、カフェを無料で利用できるという特典がある。このポイントカードは新棟でも使用できるため、大きなシナジー効果を見込んでおり、このマーゴ・ウエストも含めて、年間売上高は30億円増の150億円を目指す。
―― 将来の抱負を。
広瀬 当SCの周辺は農業振興地域であるが、さらに土地を取得して、従業員も、お客様も楽しんでいただけるようなモール構想を描いている。マーゴでお買い物をして、映画を観賞し、夕食を食べてお風呂に入る、このように一日中過ごすことができるSCにしたい。今後も様々な戦略を立てて、それを実行に移し、最終的にお客様の楽しみにつながれば、デベロッパー冥利に尽きるだろう。
(聞き手・岡田光記者)
※商業施設新聞2204号(2017年8月1日)(1面)
デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.235