商業施設新聞
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No.367

金環日食と東京スカイツリー


大塚 岳史

2012/5/22

 5月21日の朝、全国の広い範囲で「金環日食」が観測された。
 ニュース調な表現になっている理由はただひとつ、自分の目で見ていないからだ。その時が訪れるにしたがい、家の前の道路からは近所の大人や子供たちが「太陽が欠けてきた」「すごい!見えた!」と大はしゃぎする声が聞こえてきた。テレビでは、どのチャンネルでも金環日食を取り上げ、某公共放送局でも1つのニュースを伝えると、また金環日食に関する各地からのレポートという番組編成だった。天候不順で見られなかった地域もあったようだが、多くの子供たちが貴重な天文ショーを体験できたことは素晴らしいと思う。

 関連部署の迷惑を省みず、ギリギリまで原稿を待ってもらい、金環日食をテーマにしたコラムを書こうと思っていた。先週末には、観測メガネを買い、写真も撮って……などと考えていた。しかし実際は、観測メガネも買うことなく、テレビのスイッチを入れるまでは金環日食のことを忘れている始末。
 妻には「口にするほど興味はないんでしょ」と笑われたが、言われてみればそのとおりだったかもしれない。1987年に沖縄県で見られたことも忘れていたし、次は2030年に北海道で見られるらしいが、18年も記憶に残っているとは思えない。そればかりか、その時には12年5月21日の金環日食のことを、きっときれいに忘れているだろう。

 しかし、12年5月22日とセットでならば覚えていられるかもしれない。言わずと知れた「東京スカイツリー」の開業日だからだ。東京スカイツリータウン、そして東京ソラマチと話題の施設がオープンし、これから国内はもちろん、世界中から観光客が訪れることだろう。施設の賑わいが、だんだんと周辺に広がっていって欲しいと思う。
 東京都内では、今春開業した「東急プラザ表参道原宿」「ダイバーシティ東京」「渋谷ヒカリエ」などをはじめ、魅力の商業施設が多数ある。地域間競争が叫ばれているが、東京スカイツリーには新たな競争相手の誕生としてではなく、東京の各地域を結節する施設として期待している。起点であっても、終点であっても、また中途であってもかまわない。東京スカイツリーが軸となり、多くの人が様々な地域を行き交うことで、新しい賑わいが生み出される。

 さて、様々なメディアで東京スカイツリーをはじめとする施設の魅力が取り上げられているなか、今さらの感はあるが、個人的には東京スカイツリータウン8階のドームガーデンにある、東京スカイツリーを見上げるための専用ベンチを、おすすめスポットとして紹介する。「ベンチに横たわりながら東京スカイツリーを見上げる」というのは、東京スカイツリーの展望台から360度のパノラマを眺めるのとはまた違った、そこでしか見ることのできない景色である。
 もちろん、予約は要らないし利用料金もかからないが、ベンチは6脚しかない。東京スカイツリーを訪れた際には、時間を見計らって、横たわりながら東京スカイツリーを足元から眺めるのも一興かと思う。

ドームガーデンにある、東京スカイツリーを見上げるための専用ベンチ。そこからの景色は自分の目で楽しんで下さい
ドームガーデンにある、東京スカイツリーを見上げるための専用ベンチ。そこからの景色は自分の目で楽しんで下さい

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