韓国のコンビニ市場が失速する気配を見せている。1年前までは、韓国も日本のように1人暮らしが増えており、「コンビニ大国」になるのでは、という展望が大半であった。だが、8月に韓国コンビニ業界トップの「CU」を運営するBGFリテイルの時価総額が4兆3000億ウォン(約4300億円)となり、流通業界トップであるイー・マート(6兆4951億ウォン)の3分の2の水準に急落してしまい、わずか1年間でコンビニ市場に対する期待感は、むしろ懸念に変わってしまった。
過去30年間、急速な成長を続けてきた韓国コンビニ業界。しかし、ここにきて売上高は史上最大を記録しつつも、1店当たりの売り上げは下落傾向となっている。韓国全土のコンビニ店舗数は4万店に肉迫し、競争が激化。人口対比では、日本に比べて韓国のほうが多いという集計も出ているほどだ。
韓国産業通商資源部(日本の経済産業省)によると、「CU」、「GS25」、「セブン-イレブン」の韓国3大コンビニの2017年4~6月期における1店当たりの売上高は、前年同期比3%減で、同1~3月期(1.1%減)に続いてマイナス成長となった。月間統計を公開し始めた14年以降、2四半期連続のマイナス成長は今期が初めてである。
韓国は人口1491人当たりにコンビニが1店ある。日本のそれは2226人であり、韓国は1.5倍といわれている。また、日本のコンビニ1店当たりの平均面積は130m²で、韓国(72m²)の2倍近い広さがあり、売り上げも多いことを考えると、「韓国のコンビニの数は多すぎる」という指摘がある。1店当たりの売り上げ減少は、17年に入ってからタバコの売り上げが急減したことも影響している。売り上げに占めるタバコの割合は一時50%に達していたが、最近は40%を割り込み、コンビニ各社はこれを補える新しい商品を見出せていない。
業界の危機について、3大コンビニ各社は反論している。1店当たりの売り上げが減少したのは、最近オープンした店舗が多いためであり、既存のコンビニの売り上げは堅調に推移しているという。また、現在7万カ所に達する町のスーパー(小店)がコンビニに変わりつつあることから、成長力は相変らず高いという。
いずれにせよ、韓国コンビニ業界は新しい成長の動力を見つけるべく、斬新なアイデア作りに迫られている。様々な顧客の要求、幅広くなった顧客の年代の多様化に対応し、店舗の品揃えの工夫などによって、コンビニ業界が危機を乗り越えられるか注目される。