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No.39

インド・グジャラート州投資セミナー開催、自動車産業集積地に成長


2017/8/29

 独立行政法人 日本貿易機構(ジェトロ)主催によるインド・グジャラート州投資セミナーが、7月27日に東京都内のジェトロ本部で開催された。ホンダやスズキが新工場を建設し、自動車産業の集積地となりつつある同地域の現状を紹介。広く投資を呼びかけた。

 グジャラート州は面積19万6000m²で、インドの国土の6%を占めており、州人口は6004万人でインドの人口の5%を占めている。インドの国内工場の約10%が州内に所在し、インド鉱業生産高の18%以上、インドの輸出の20%以上を同州が担っている。国内GDP寄与率は2016年が7.8%で、17年は8%を見込んでいる。日系企業も多く進出しており、投資額は10億ドル近くに上る。ホンダは同社最大のスクーター工場を開設しており、スズキも工場の拡大を表明している。20年までに日系企業の投資額は30億ドルに達すると予想されている。

 グジャラート州は自動車産業だけでなく、製薬・医療機器・製薬機器など製薬産業のハブでもある。医療機器の国内生産量の53%、薬剤生産量の40%、製薬機器の40%を担っており、3300社以上の製造業がアーメダバードやヴァドダラ、バールチ、ヴァピといった4カ所の産業集中地と州内5カ所の特別経済区で操業中である。

 海上貿易も推進している。州内港湾の貨物取扱量は今後、5.5億t以上になるとみられ、20年までに貨物取扱能力を8.5億tまで拡大する予定。関連産業集積地や港湾都市の開発、海洋学校の設立など、州内の港湾部門には総額200億ドル相当の投資機会が存在する。

 インフラ事業では、貨物専用鉄道の両脇150km以内にある、影響力の大きな産業地域であるデリー・ムンバイ産業大動脈整備計画、国家投資製造集積地区に指定されているドレラ特別投資地区開発計画、ムンバイ・アーメダバード高速鉄道整備計画などがあり、これらに日本企業の投資機会もある。

J.N.シン首席次官
J.N.シン首席次官
 セミナーではグジャラート州首席次官のJ.N.シン氏と工業次官のM.K.ダス氏が基調講演でこれらの状況を説明。「皆様もぜひグジャラートの優位性を活用していただきたい」(シン氏)、「パートナーとして投資をしなくても、ぜひグジャラート州に来てください」(ダス氏)と語った。

 ジェトロ ニューデリー事務所 ダイレクター(アーメダバード駐在)の北村寛之氏は「グジャラート州の投資環境と日系企業動向」のテーマで講演。グジャラート州の投資環境や主要工業団地などについて説明し、日系企業専用の工業団地であるマンダル日本専用工業団地についても紹介した。同工業団地は11年11月にジェトロとグジャラート州政府機関がMOUを締結し、日本企業専用工業団地を整備することに合意したことから建設されたもの。総面積494万m²(1235エーカー)で、現在約122万m²(300エーカー)が分譲中(フェーズ1)。州政府はフェーズ2の開発を進めている。日系企業の資本割合51%以上、または日系企業の資本割合50%の場合はマネージング・ディレクターが日本人であることが入居条件となっている。

 進出企業からは、スズキ・モーター・グジャラート社 取締役兼管理本部長の渥美元浩氏がプレゼンテーションした。スズキの四輪事業にとってインドは重要市場となっている。11年に生産能力拡張のため、新工場用地を探していたところグジャラート州から誘致の話があり、(1)州政府の実行力、(2)インフラ体制、(3)地理的に優位な条件などから進出を決定した。14年3月に会社設立、15年2月に工場建設を開始し、17年2月から生産を開始している。工場建屋面積は5万5560m²、生産能力は25万台/年(2シフト時)、従業員は1500人で、稼働から6月までで累計3万7000台を生産している。現在、生産能力25万台/年の組立工場およびエンジン工場の建設を進めており、これが稼働すればグジャラート工場全体の生産能力は50万台/年に拡大する。同工場の敷地では75万台/年まで拡張の余地がある。渥美氏は「現状、ハリアナ州から部品を運んでおり、ジャスト・イン・タイムのために近くに倉庫を借りるなどの対応をしている。技術のある日本企業に進出してもらいたい」と語った。

 最後にアーメダバード日本人会事務局代表の中川忠洋氏が、グジャラート州の最大都市であるアーメダバードの住環境などについて紹介した。
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