商業施設新聞
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No.615

意外な茨城、メロン生産で日本一


笹倉 聖一

2017/7/18

 オトメ、アンデス、クインシー、タカミ、アールス系など、メロンには色々な種類がある。都道府県別で日本一の生産量を誇るのは茨城県で、市場占有率は約25%となっている。このほかにも、ユウカ、ルピアレッド、レノン、アムス、プリンス、キンショーなど覚えきれないほどたくさんの種類がある。市町村別では、同県鉾田市が日本一の産地で、同県内にはほかにも八千代町、茨城町、小美玉市、鹿島市、神栖市などの産地が広がっている。

「茨城はメロン生産日本一」と紹介する橋本知事(中央)
「茨城はメロン生産日本一」と紹介する
橋本知事(中央)
 店頭にメロンが並んだ5月下旬の三越銀座店には、茨城県知事の橋本昌氏が、Toshi Yoroizukaオーナーシェフの鎧塚俊彦氏(いばらき大使)、JA全農いばらき本部長の川津修氏とともにトップセールスにやってきた。独自品種の「イバラキング」の試食品を提供し、「本県はメロンの生産量日本一で、夏に向けて最盛期を迎える。この機会にみずみずしいメロンを味わってほしい」と訴えかけた。知事は取材中の報道陣にもメロンを配ってサービス、確かにそのメロンはみずみずしく、甘くてうまかった。

茨城出身のお笑いコンビ「カミナリ」(右2人)はメロンの品種を味覚で判別できる
茨城出身のお笑いコンビ「カミナリ」(右2人)は
メロンの品種を味覚で判別できる
 また鉾田市は、算用数字の「6」の文字がメロンの形と似ていることから、毎月6日を「メロンの日」とし、「大切な人にメロンを贈ってほしい」と消費を促している。「6」の文字が2つ並ぶ6月6日はことさらメロンの日と強調し、3日前に迫った土曜日(6月3日)の東京・有楽町では茨城出身のお笑いコンビ「カミナリ」を招いてメロンの催事を開き、駅前には数百人が詰めかけた。同コンビで背が高い石田氏は鉾田市出身で、目隠しをされたままメロンを食べて、味覚だけで品種を当てられるほどのメロン通。実家がメロン農家だという同氏は「うちの親父は網目によって、メロンを栽培したビニールハウスを特定できる。子供の頃には家族で出かけても、天気が悪くなるとメロンが心配ですぐに家へ帰り、悲しい思いをした」と逸話を披露し、会場を笑わせた。

 メロンというと、緑や薄緑、黄緑色と、多種の緑色で彩られた爽やかな丸い果物で、網目で覆われた形状のメロンは高級品という印象があり、筆者も子供の頃から畑やハウスで接する機会が多かったため、出身の静岡が日本一の産地なのかと思い込んでいた。ところが、1位は茨城、2位は熊本、3位は北海道で、以下4位山形、5位愛知と続き、意外な地域が上位に並ぶ印象だ。

 意外と言えば、茨城県ではメロン以外にも日本一の産物が多くある。三越銀座店で、知事の隣に掲げられた看板の資料によると、東京都中央卸売市場の青果物取扱高で、茨城県産の水菜、蓮根、栗、干し芋、切りみつば、チンゲンサイ、エシャレット、白菜、ピーマン、小松菜、こだますいか、カリフラワーは、13年連続の占有率(シェア)1位である。また占有率2~3位では、かんしょ、にら、ほうれんそう、ながなす、レタス、ねぎ、マッシュルーム、おおば、とうもろこし、なし、そら豆、春菊、ごぼう、いちごが連なる。茨城は実に青果物の大産地なのだ。

 茨城というと、納豆がまず頭に浮かび、水戸黄門(光圀公)、偕楽園が連想されるが、実体経済では関東の台所なのである。また、数年前からの観光魅力度アンケート調査で最下位連続という笑い話はご愛敬で、相撲界では2人(稀勢の里、高安)の横綱と大関を輩出し、名古屋場所でも優勝がかかる。この相撲の強さの粘り腰を支える納豆は、7月10日の「なっとうの日」で今年も頂点に達し、銀座の同県アンテナショップで7月31日まで「納豆フェア」を開催しサービスしている。茨城は次に何の日をつくるのか注目である。
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