“中古品”と聞いて何をイメージするだろうか? 「他人が使用していたものを使うのには抵抗がある」、「購入したらすぐに壊れそう」という意見はまだしも、「お古は嫌、新品が好き」と、好き嫌いの一言で中古品を一蹴する方も少なくないだろう。先日、リサイクルショップなどを展開する某小売会社の方と会食する機会があったが、「私も中古品は買いません。新品を購入します」と断言され、思わずあ然としてしまった。
日本リユース業協会が2016年10月に発表した「2016年日本リユース業協会統計」(会員企業の合計)によると、15年度におけるリユース品年間売上高は、直営店が2789億7238万7000円、FC店が1145億6394万5000円で、合計は3935億3633万2000円だった。店舗数(16年6月末時点)は直営店が3027店、FC店が1860店で、合計は4887店となった。リユース品年間売上高は前期比7.4%増、店舗数も同2.8%増を記録しており、激しい競争の中にあっても売上高や店舗数を着実に増やしている。前述の某小売会社の方も、「現在、中古品(リユース品)の市場規模は、12年度の約1兆2000億円から約1兆6000億円まで拡大していると聞いた」と話すように、中古品のマーケットは日々成長している。
数字を裏づけるかのごとく、大手リサイクルショップは売り上げを増やし、店舗網を広げている。トレジャーファクトリーは首都圏・関西圏を中心に136店を展開。ゲオホールディングスはゲオ業態やセカンドストリート業態などを展開し、総店舗数は1791店を数える。ブックオフコーポレーションは既存の業態に加え、16年10月にレディースアパレル販売専門店を開店。そして、ハードオフコーポレーションは16年12月にカンボジアへの出店を果たした。売上高も16年度は4社ともおおむね増収を見込んでいる。
売上高も、店舗数も、そして市場規模も右肩上がりなのに、なぜ中古品の悪いイメージは払拭されないのだろうか? それは、中古品の認知度が低すぎるためだと思う。例えば、家を引っ越す際に不要となった衣類をどのように処分するだろうか。ゴミとして捨てるか、それとも友人に譲るか。
自分も16年春に引っ越しをしたが、その際にトレジャーファクトリーの出張買取に依頼し、買い取ってもらった。具体的には、まずネットで個人情報を伝え、近くのスーパーで要らない段ボール箱を頂戴し、そこにありったけの衣類を詰め込んで、ガムテープで止めて準備完了。あとはこちらが指定した時間に宅配業者が家に来て、段ボール箱を受け取るという仕組みだ。わざわざ店舗に持参する必要がなく、4~5日ほどで査定結果がメールで届くため、引っ越し作業の時短化につながり、かつ買取金ももらえる、まさに一石二鳥のシステムとなる。
しかし、このような優れたシステムを用意していても、利用する人がいなければ、宝の持ち腐れとなる。自分はたまたまリサイクルショップに興味があったから、このようなシステムを利用することができたが、知らない人も多いことをリサイクルショップ各社は改めて認識することが大切だと思う。売上高や店舗数が伸びても、「買い取りの手順がよくわからなくて面倒だし…」ではいつまで経っても認知度は上がらない。「たかが中古品、されど中古品」と胸を張って言えるような業界に成長してほしい。