商業施設新聞
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No.338

結婚式の事情


今村 香里

2011/10/18

 11月に、私の弟(24歳)が結婚する。お相手は約8年間交際を続けていた同級生の彼女。昔から「性格よりも外見重視!」と言っていた弟が選んだだけあり、新しい妹はファッション誌のモデル並みにかわいい。弟に先を越されることは予測できていたが、現実となると複雑な心境だ。

 弟の結婚が迫るにつれて、離れて暮らしている両親は、手のひらを返したように「戻って来い」と言わなくなった。むしろ「戻って来るな」という空気が、我が実家に帰省すると流れている。淋しいものだ。弟たちが挙式する所は、地元で人気の貸切型のウエディングハウス。一般的にゲストハウスと呼ばれる所だ。敷地内には、天井の高さが13m、大階段付きのチャペルと、プールなどが完備されている。

 先日取材で訪れた(株)セレマでは、現在のニーズに対応するために結婚式場の建て替えを進めている。担当者に話を聞くと、やはりゲストハウスが人気で、同社もチャペルやプールを完備した施設を新設するようだ。最近は、出席者の数も少なく、結婚式に費用をかける若者も少なくなってきており、従来の広い宴会場では顧客を獲得できないとしている。
 それでも、それなりに豪華で、おしゃれに見せたいという要望があり、施設の内容や演出に工夫を凝らしているようだ。

 この年齢(27歳)になると、友人の結婚式に招待される数が増える。二次会やウエディングパーティなどを含めると数えきれないほどだ。友人の結婚式でも、駅から近い小規模なゲストハウスが多い。ホテルなどの宴会場よりも安く、アットホームな雰囲気が人気の理由だと思う。
 驚いた演出では、キャンドルサービスの代わりに新郎がビールサーバーを担いでビールを振舞い、新婦がおつまみ(柿ピー)を配って各テーブルをまわっていた。どうやらキャンドルサービスは値段的に高いらしい。このような費用の面でも「お金をかけるところ、かけないところ」をシビアに選択しているようだ。
 弟たちも費用削減のため、演出や衣装などに悩んでいる。そうした中、披露宴の会場で流すプロフィール映像の製作を私が担当することになった。式場側に頼むと、約5分の映像で10万円はかかるのだという。もちろん無料で引き受けたので、10万円節約できたことになる。

 幼い頃、父親のいとこが多いおかげで結婚ラッシュに巻き込まれ、10件以上も披露宴に参加した記憶があるが、当時と比べると結婚式のスタイルが違うことが分かる。ウエディング業界は、少ない顧客を勝ち獲るために、施設内容のほかにオリジナリティに溢れる演出や、予算に合わせた様々なプランを提案している。
 最近では、ウエディングの知識だけ詳しくなっていく。結婚はしたくないが、結婚式だけはしてみたいと思うようになった。週末には、弟の映像をつくりながら「私だったら……」とオリジナリティある結婚式のプランを考えている。

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