商業施設新聞
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No.329

夏祭り


大塚 岳史

2011/8/9

 視線をふと右にずらすと、真夏の太陽を反射した沖縄・来間島の真っ白なビーチが飛び込んでくる。その先には、どこまでも透き通っている沖縄の青い海が広がり、これまた東京では決して見られない青い空と水平線の彼方で融合している。そして、海岸線には南の国をこれでもかと表現する多様な樹木が連なっている。
 「白」「青」「緑」で彩られた眺望に思わず心を奪われていると、正面から「大塚君、記事書けた」という声がかかり、現実に引き戻された……。そう、ここは職場。前述の景色は、8月のカレンダーの写真である。

 仕事を一気にやっつけて、南の島で家族一緒にロングバケーション!といきたいところだが、子供が小さいため、この夏は特に出かける予定もない。そこで、週末は夕涼みがてら近所の公園で行われる地域の夏祭りを覗きに出かけている。町内会で模擬店を出しているものや、10店程度の屋台が出ているものなど、少し足を伸ばせば毎週どこかで祭りがやっている。
 昔に比べると、はしゃぎ回る子供が少なくなったように感じるが、ラムネ、かき氷、わたあめ、焼きそば、金魚すくい……。子供の頃に何度も苦い思いをした型抜きにはまだ出会っていないが、見ているだけでワクワクしてくる。そして、何よりも祭りにはしゃぐ子供たちの笑顔を見るのが楽しい。やっぱり、祭りはいいものだ。

 東日本大震災発生後、由緒ある花火大会の中止が決まるなど、今年の夏祭りはどうなることかと案じていた。7月23~25日には、相双地方の復興のシンボルとして「東日本大震災復興 相馬三社野馬追」が行われ、8月に入ると1~4日に盛岡さんさ踊り、2~7日に青森ねぶた祭、3~6日に秋田竿燈まつり、5~7日に山形花笠まつり、6~8日に仙台七夕まつり、と東北を代表する祭りが一斉に行われた。
 東北では、震災の傷跡はまだ癒えず、本格的な復興も端緒についたばかりの所も多い。しかし、多くの人が集まる祭りは賑わいを生むとともに、街の絆を深めていく。そして、大きな被害を受けながらも夏祭りの伝統を継承できたことは、東北に暮らす人々にとって、きっと大きな力になっていくことだろう。

 瓦礫の撤去や社会インフラの整備などハード面の整備が今後進んでいくが、防災面の見直しとともに、ぜひ街が賑わいを保ち続ける街づくりを行って欲しいと思う。人が流れ、人が集まる街づくり。地域の社会インフラである商業施設についても、本当の意味で地域に密着して、街とともに店齢を重ねていくことが、今、求められている。

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