商業施設新聞
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第32回

(株)イッツデモ 代表取締役社長 林知彦氏


ファッションビルへ展開拡大
赤坂に新コンセプト店開店

2016/6/21

(株)イッツデモ 代表取締役社長 林知彦氏
 ワールドグループの(株)イッツデモはコスメ、食、雑貨、アパレルなどを集積した「ITS'DEMO(イッツデモ)」を展開している。2015年度の既存店売上高が前年比105%となるなど好調だが、同時に転換期を迎えている。現在駅ナカ、駅前を中心に約50店を展開し、今年度からはファッションビルでも拡大する。2月にはその先駆けともいえる店を都内にオープンした。今後の戦略を同社代表取締役社長の林知彦氏に聞いた。

―― 新コンセプトの店を開店しました。
  2月に赤坂Bizタワー(東京都港区)に出店した。路面店になっており、従来の商品をベースにしながら、ファッション性や高品質を切り口にした。店内はイッツデモとしては3番目に広く、商品や店作りの高質化をやりきった。
 大型店ということもあり、商品の構成も変えている。小型店だとステーショナリー関連、スマホ関連など鞄に入るような商品が強い。大型店にしたことで、ナチュラルコスメ、インテリア雑貨など家の中にあるようなものも揃えている。

―― アパレル商品が目立ちます。
  店内を区分けしてアパレルのエリアを作っている。赤坂店でしか扱っていない商材もある。ただ、実は商品数自体は従来と変わりない。2年前に横浜店をオープンしたが、それ以降、ファッション関連は強化している。
 これまで駅ナカを中心に出店し、ファッションビルには出店攻勢をかけていなかった。赤坂の店舗を検証して、同様のコンセプトの店を出店していきたい。

―― 横浜では駅ビルのファッションフロアに出店しています。
  14年4月に横浜駅の駅ビル「ジョイナス」のファッションフロアに2階の改札前から移転する形でオープンした。当社がファッションフロアに出店するのは初めてのことで、アパレルの見せ方を変えるなど様々な取り組みを行った。横浜店は好調で、あのフロアで一番賑わっているという自負がある。ファッションフロアでも戦えるという検証ができた。
 改めて横浜の出店は大きな契機となった。駅という利便性のある立地に強い当社だが、便利なことは強みというより「当たり前」「大前提」という時代になっている。お客様が満足いくMD、店づくりをしなければならない。横浜の店舗からこの「脱コンビニ」が強まっているといえる。

―― 駅ソト店としては渋谷店があります。
  13年2月、センター街の入り口正面に出店したが、絶好調だ。SNSをきっかけに多くの方に来ていただいており、改めてSNSの力を感じる。
 渋谷店はインバウンドが多いのも特徴的だ。アジアだけでなく、欧米の方も多く、キャラクターグッズやアクセサリーが人気だ。
 今でこそ絶好調と言えるが、当初は苦労した。ブランド認知もなくて来店者が少なかったが、渋谷という街にマッチしたMDにできるようになった。渋谷店とともに会社の売り上げも上がっており、渋谷店と一緒に成長した感覚だ。

―― 全体的な既存店の動向は。
  好調で、15年度の既存店売上高は前年比105.7%だった。過去最高の坪効率になりつつある。客層はこれまで同様20~30代が圧倒的に多い。一方で、10代や親子での来店が増えている。20~30代が減ったのではなく、新しい層が純増した。
 商品としてはグッズだけなくアパレルも好調だ。客単価は1500円くらいで、特にお菓子などのフード類が圧倒的に売れる。フードの品揃えを控えめにすれば客単価は上がるか、フードが強いことにより、客数が増え、店の賑わいにつながる。
 イッツデモはファッショングッズ、コスメ、フード、ステーショナリー、バラエティ雑貨など様々な商品があるが、あまりカテゴリー別では考えていない。イッツデモとして編集された一つのMDとしたい。

―― 駅ソトの実績も蓄積されてきましたが、駅ナカの出店は。
  ファッションビルの出店は行っていきたいが、一方で駅立地の出店もさらに増やしたい。両軸で拡大していけると思う。

―― 今後の抱負を。
  やはりコンビニエンス性だけにすがっていてはだめで、アパレルでもそう。イッツデモはバラエティ豊かな店だが、ファッションにおいては20~30代のお客様が実際に着るようなスタイリングをきっちり提案したい。来店するお客様に向けた店作りをしなければならない。

(聞き手・副編集長 高橋直也)
※商業施設新聞2143号(2016年5月24日)(6面)

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