1983年にヒットした英国ロックバンドStyxの曲「Mr.Roboto」の歌詞はもちろん英語だが、冒頭にたどたどしい日本語で「ドモアリガト、ミスタ・ロボット、マタアウヒマデ」というフレーズがある。
ロボット技術やAI(人工知能)テクノロジーの技術革新が日進月歩で進んでいる。10年は勝てないだろうと言われていた世界囲碁チャンピオンにグーグル傘下企業が開発したAIの囲碁ソフト「アルファ碁」が5戦4勝と圧倒した。ロボット技術はすでに製造現場で数多く投入され、今後はセンシング技術に一層の磨きがかかり、人型ロボットはより細かい動作ができるようになり、これにAI技術が組み合わされば、その実用性は一気に広がる。多くの人の手がロボットに置き換わる。なんでも、20年後に多くの仕事がロボットに取って代わられるそうだ。別の言い方をすれば奪われてしまう。
ロボットはどんどん導入されていく(写真はレンタル事業を開始した西尾レントオールのペッパー)
我々が身を置く流通・小売り業界もしかりで、接客業がロボット化していくのではないか。コンビニなどで店員の接客があまりにマニュアル化していることを“まるでロボットのようだ”と揶揄するのとは異なる。すでにソフトバンクの「ペッパー」が実践投入され、接客をしている。ただしまだまだ客寄せパンダ的で、クレーム対応を含め顧客の要望に応えるのは先の話だが、今後、技術の進展でより接客業に特化した新型ロボットも登場していくに違いない。きめ細かいサービスに加え、日本語も正しくプログラミングしておけば、「よろしかったですか」などの変な言葉遣いにいらいらさせられることもなくなるだろう。レジ打ちやおつりの渡し間違いもなくなるだろうし、店内に在庫がないとわかれば、瞬時に他店の在庫状況にアクセスし、すぐに取り寄せの手はずをとる。さらには万引き防止、強盗対策などセキュリティ面でも心強い店舗ロボが登場すれば、いいことづくめだ。
しかし、人間の心は移り気だ。市場からとっくに“絶滅”したと思われていたアナログレコードが復活し密かなブームを迎えている。iPhoneであればSiriを使えば曲をかけてくれるが、アナログレコードはあの大きなジャケットから薄いビニールに包まれたレコード盤を出し、プレーヤーまたはターンテーブルにレコードと針を置く。45回転のドーナツ盤なら手間はたいしたことないが、LP盤は少々面倒くさい。オートリターン機能がなければ曲が終わってもそのままで、波に揺られたゴミのようにプレーヤーの上を漂っている。場所もかさみ、面倒くさいが、その魅力が再認識されている。
20××年。おしゃれなショップの店員にヒトが採用されたことがニュ―スになる時代が来るかもしれない。手際は悪いが、なんだか温かみが支持されてたりして。