相鉄グループの商業施設のリーシングやプロパティマネジメント業などを担う(株)相鉄ビルマネジメント(横浜市西区南幸2-1-22、Tel.045-326-3032)は、横浜駅西口の「相鉄ジョイナス」と地下街「ザ・ダイヤモンド」を一体化し、新生ジョイナスとして2015年12月1日にグランドオープンした。店舗数437店、売り場面積3万5000m²、売上目標約670億円を掲げる大型SCとなった。さらに今後は相鉄線二俣川駅周辺再開発や相鉄いずみ野沿線開発にも参画する。同社取締役の佐藤充氏に聞いた。
―― 新生「ジョイナス」の状況は。
佐藤 順調だ。最終工事で地下街の奥にスターバックスや旅行代理店、サイネージを配置することで、奥にまで人が流れるようになり、回遊性が高まった。これまで〝通路〟としての意味合いが強かったが、商業空間という認識が広がり、滞在時間も延びた。437店という全国でも有数のSCとなり、横浜駅の集客の役割を担う。〝地下から始まる街〟を掲げており、地下街から西口の地上までを回遊してもらいたい。
―― グループとしての位置づけは。
佐藤 相鉄グループは、横浜駅西口の街づくりを短期、中期、長期的な視野で取り組む。中長期では街全体の再構築を目指していくが、短期では当社が運営する商業ビル「相鉄南幸第7ビル」をリニューアルし、昨夏「俺のフレンチYOKOHAMA」など2店を誘致したほか、3DCGシアターを開業するなど、エリアとして街へ足を延ばす仕掛けをつくっている。また相鉄グループと地元商店会・自治会そして行政等と「横浜西口元気プロジェクト」を運営し、様々なイベントを催している。西口に流れる新田間川の水辺を活用した賑わいづくりにも取り組みたい。さらに西口には特徴のあるお店があり、これらを知らしめる取り組みをする。
また、横浜は、まだまだインバウンド客の来街が少ない。ジョイナスでもフリーWi-Fiや多言語フロアガイド、一括免税カウンター、銀聯カード対応を整備した。ジョイナスを始めとしたエリアの魅力を発信し、西口に興味を持ってもらいたい。
―― 相鉄沿線では二俣川駅再開発が本格化します。
佐藤 18年4月完成で、住宅や商業の複合施設となる予定だ。商業床は1万8800m²となる見通しで、当社はMD構築に向けてリサーチを行っている。来街者、沿線住民両方が楽しめるMDとしたい。
―― いずみ野沿線開発は。
佐藤 南万騎が原、いずみ野、弥生台駅で予定している。南万騎が原駅では先ごろ第1期がオープンした。南万騎が原は、駅前に高齢者向けの集合住宅や若年層向けの住宅などを整備し、多世代循環の街を実現したい。
当社は日常の買い物やクリニックの導入、また駅前広場などを活用したサードプレイスとなる空間づくりなど、エリアマネジメントも担当する。商業2期は今春にライフがオープンし、その後、順次住宅が整備される。
―― いずみ野駅は。
佐藤 14年に第1期を開業し、今夏に2期が完了する。カインズホームのほか、地産地消をテーマとしたレストランが出店する。子育て支援施設や地域ケアプラザも導入する。
これらの整備状況を鑑みて、弥生台の開発内容を検討していく。
―― 本線では星川~天王町駅間で高架化事業が進められています。
佐藤 まとまった空間が高架下にできるので有効活用する考えで、地域の利便性を高める日常性と非日常性が融合したような店舗を誘致したい。近くリーシング活動を開始する予定だ。
―― 複数の開発案件がありますが、貴社の体制は。
佐藤 昨年7月に社内組織を変更し、商業施設のMDやリーシングを統括する営業統括部を発足した。ジョイナス、ライフなどのリーシングを集約し、スピーディかつ、強力な体制が整った。
―― 沿線の海老名駅にららぽーと海老名が開業しましたが、この影響は。
佐藤 競合ではあるが、海老名駅の乗降客数増といった状況も出てきている。広域型商業施設とライフなどの生活密着型の商業施設による相乗効果で、沿線の充実につなげていきたい。
―― 最後に、グループでは都心乗り入れというビッグプロジェクトがあります。それに向けては。
佐藤 横浜は、新生ジョイナスを中心としてエリア全体を盛り上げ、西口の魅力を発信したい。沿線は都心乗り入れにより時間的距離が縮まるので、住みたくなる街づくりを進める。そのなかで生活と共にあるのが商業だ。日常性と楽しさのあるSC、街づくりの中での商業施設の役割、これらを包括した全体のエリアマネジメントを行っていく。
(聞き手・編集長 松本顕介)
※商業施設新聞2126号(2016年1月19日)(1面)
デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.183