商業施設新聞
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No.540

非喫煙者だって肩身は狭いんです!


今村 香里

2016/1/19

 とある休日に失敗をした。その日はどうしても次の週末までに伸びきった髪の毛を何とかしたいと思っていた。ちょうど飲み会で繁華街に出る用事があったので、ついでにヘアサロンへ行った。髪を少し切り、ヘアカラーをしてもらったのだが、担当のお兄さんに「今日はカラーをしたばかりなので髪を洗わないで下さいね」と言われ、ハッと気がついた。ヘアカラーのカラーリングを保つには、カラーをしたその日の髪の毛は洗わないのが常識。しかし、次の予定は久々に集まる友人同士の飲み会だ。

 何が気になるのかというと、宴席での髪につくタバコの匂い。その翌日も用事があったので、タバコの匂いのする髪で出かけたくない。非喫煙者にとってはタバコを吸っていないのに、服や髪に付く匂いのせいで、タバコを吸っているかのように思われることが嫌なのだ。

 その日の飲み会は、事情を説明して、喫煙者にはタバコの煙が私の方へ行かないようにお願いした。少々面倒だなと思われたに違いない。しかし、そんな努力も虚しく、お酒が進むにつれ、私の事情はお構いなしに、髪にタバコの煙が降りかかってくる。仕方ないと諦めるしかない。

 最近、店舗や公共施設で分煙や禁煙スペースが増え、喫煙者は肩身の狭い思いをしているという話をよく耳にするが、もともと肩身の狭い思いをしているのは非喫煙者の方だと思う。
 喫煙者と合席する際、タバコを吸ってもいいかと聞かれるが、ダメだとは言いにくい。ダメだといえば、空気の読めない人、心の狭い人だと思われるだろう。それに、非喫煙者は喫煙者の副流煙で間接的に喫煙しており、健康にも影響がでるらしいので迷惑な話である。

15年秋にオープンしたiQOSストア心斎橋
15年秋にオープンしたiQOSストア心斎橋
 舞台は変わるが、昨年取材帰りの心斎橋商店街で、珍しい店舗をみつけた。フィリップ モリス ジャパンが提供する加熱式タバコ「iQOS」の専門店だ。iQOSは、特別にブレンドした専用のタバコ葉部分を燃やすことなく制御された温度で加熱し、通常のタバコの味わいと変わらない体験ができ、煙も灰もほぼ出ないという画期的なもの。電気による加熱式の葉タバコだそうだ。現在、一部のコンビニエンスストアとタバコ店で購入可能になっているが、iQOSストアは一味違う。

 iQOSでタバコを吸える体験ができるのはもちろんだが、商品説明も面白い。特殊なデジタルアイマスクをすると、iQOSの商品説明が3D映像で流れる。異次元の世界に行ったような面白い映像だったが、iQOSの商品説明も良く分かった。それに加え、丁寧なスタッフの方の説明でより商品のことが理解できる。店舗の外観や内観も白とブルーで統一されており、爽やかな印象を受ける。

 このiQOSストアは、昨年から積極的に展開しており、心斎橋店を含め現在は5店(仙台、原宿、名古屋、梅田)を展開している。今後も需要拡大を見込んでおり、地方都市などにもiQOSストアを展開し、知名度を向上させていくようだ。

 非喫煙者にとっては、煙が出ないというのが最もありがたい。喫煙者にとっても、通常のタバコの味に近いものが体験できるとあって、双方にメリットがあるのではないだろうか。価格や、まだ専用タバコ葉の種類が少ないのが課題だが、こうしたものが広く普及されると、非喫煙者も喫煙者ももっと仲良く過ごせるんじゃないかと思う。

 その一方で思うこともある。昨年の夏に歩き煙草をしている人にぶつかり、腕にかなりの火傷をした。マナーを守らない人は、そもそも煙を出していることが他人に迷惑をかけているなんで考えていないだろうし、iQOSのようなタバコに興味を持たないかもしれない……。
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