商業施設新聞
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No.531

ヤマダ電機、東京・八重洲に新コンセプト店


登坂 嘉和

2015/11/10

東京駅八重洲口の「Concept LABI TOKYO」
東京駅八重洲口の「Concept LABI TOKYO」
 (株)ヤマダ電機は10月30日、東京駅八重洲口前に「Concept LABI TOKYO」をグランドオープンした。山田昇代表取締役社長が先頭に立って記者会見を開催し、ワールドワイドで事業展開するアップルやソニー、パナソニックなどのメーカーとともに売り場づくりを行い、最新情報を世界に発信すると意気込みを語った。

 同社は近年、縮小する家電市場の影響を受けて売上高2兆円を割り込む状況が続いており、その打開策として、家電量販店の枠を超える新しいビジネスの創造に挑戦する。

1階に開設された「Appleショップ」
1階に開設された「Appleショップ」
 「Concept LABI TOKYO」は、地下1階から地上10階の11フロアをステージと位置付けて、1階には「Appleショップ」を導入、最先端の商品を展示するとともに製品情報を発信している。アップル社のスタッフと協働することで販売員の接客対応力の向上を図り、全国主要都市で営業する「LABI」各店へ水平展開する戦略だという。


 このほか同店には、ソニーやパナソニックの最先端AVテクノロジーを体験できるトータルプレゼンテーションステージや、ニコンやキヤノンの一眼レフデジタルカメラを揃えた「Imaging&Design Style Stage」と高級デザイン家電コーナー、理美容、健康家電、コスメなどのインバウンド対応売り場、さらに地下1階には「Japanese Gift Stage」を開設して、高級腕時計や旅行カバン、医薬品、日本茶、ハローキティグッズ、ランドセルなど中国人や訪日外国人向けの人気商品を揃えている。

 10階には「Business Solution Stage」を配置して、東京法人営業部を設置。これまでの家電製品中心の販売からドキュメント、ビジネスソリューションの製品群へ領域を拡大するという。さらに宅配便サービス「スーパーエクスプレス」を導入し、当日配送も開始した。

 同社の山田社長によると、家電市場が縮小する中での対応として、グローバルな事業展開を推進している。中国では尖閣諸島問題以降、店舗閉鎖を進めてきたが、事業の再構築でようやく先が見えてきたという。また、子会社のベスト電器は東南アジアで積極的に店舗展開を行っており、さらに強化していく方針だ。

 一方、国内市場は改革に取り組んでいる。現在、ロイヤルカスタマーである会員5000万人と全国に展開する店舗、物流、インフラ、インターネットを活用、融合した新たなビジネスの構築が求められるという。

 さらに住宅事業では、リフォームやスマートハウスに挑戦しており、これらの事業にアプローチする中で、関連ビジネスも含め5000億円規模の売り上げ獲得を目指すとともに、ヤマダ・エスバイエルホームなどの買収に伴う先行投資を回収する考えである。

 同社は4月に東京・新橋駅前にインバウンド対応型の店舗「LABI アメニティ&TAX FREE 新橋銀座口店」をオープンしており、今回の「Concept LABI TOKYO」にも店舗運営ノウハウが多分に注入された。記者会見では、山田社長が過渡期にある家電業界における同社の事業戦略と取り組みを詳細に語った。今後もあらゆる機会を通じて情報発信することを期待したい。
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