米ルイジアナ州経済開発局(LED)は、東京都内で「米国ルイジアナ州投資セミナー」を開催した。LEDなどが投資先としてのルイジアナ州の利点を紹介するとともに、信越化学工業(株)と全国農業協同組合連合会が投資経験を紹介した。
ルイジアナ州経済開発局
国際商務部事務局長 キャシー・ホールズ氏
セミナーでは、LED国際商務事務局長のキャシー・ホールズ氏が「ルイジアナ州投資の理想的な立地」をテーマに講演。ルイジアナ州の投資環境を説明した。
ルイジアナ州は米国南部に位置しており、急速に成長している。税率も低く、インセンティブも充実。労働組合の組織率も3.8%と低く、土地が安いなど優れたビジネス環境を有している。ビジネス環境や1人あたりの外国直接投資額、インセンティブプログラムは全米1位となっている。2008年以降、ルイジアナ州には620億ドルが投資されており、国内外の様々な企業から投資がある。日本はルイジアナにとって一番の投資元となっている。ニューオーリンズに優れた港があり、ミシシッピ川を通じて38州にアクセス可能。ニューオーリンズには国際空港もある。
事業コストは全米を100とすると93.85。ガスや電力が低コストで提供されており、人件費も低い。ルイジアナ州には約300の工場用地が整備されており、うち50カ所がLEDの認証用地となっている。許認可も45日から6カ月と短期間で取得することができるという。
続いて、LEDファーストスタート事務局長ジェフ・リン氏が「米国No.1の従業員トレーニングプログラム」のテーマで講演し、進出企業が無償で活用できるカスタマイズした研修プログラムであるファーストスタートプログラムについて説明した。
エンタジー社専務理事のエドュアルド・ヒメネス氏は「低コストエネルギーリーダー」のテーマで講演、ルイジアナ州などで電力を供給している同社の概要などについて紹介した。ルイジアナ州は電力に関して規制があるため、コストを同社がコントロールでき、カスタマイズしたソリューションを提供できるとしている。米国で2番目に大きな原子力発電能力を有し、供給電力の35%が原子力、27%が天然ガスとなっており、クリーンな電力を供給できるとした。
続いて、ニューオーリンズ港湾局代表取締役のゲイリー・ラグレンジ氏が「市場への物流アクセス」のテーマで講演し、ニューオーリンズ港の特徴を紹介した。
ニューオーリンズ港は、1950年代にコンテナ化されており、現在コンテナ化が進んでいる。170万TEUまで拡大させる計画で、16年は84万TEUに近づくと見ている。世界でも最大級の複合一貫輸送向けの国際戦略港湾で、あらゆる貨物を取り扱う設備、サービス、保管施設を兼ね備えている。世界でも有数の陸上輸送設備に隣接し、鉄道、空港、高速道路、パイプラインなどが整備されている。不動産部は2000エーカーの土地を所有しており、LEDと共同で開発に取り組んでいる。
進出事例では、信越化学工業(株)社長室主席調査役の有賀健一氏と全国農業協同組合連合会畜産生産部海外事業課調査役の井上伸氏が投資経験について講演した。
信越化学工業は、74年にテキサス州フリーポートに合弁でシンテックを設立。76年に100%子会社化している。90年代後半に塩ビの生産能力を145万tまで拡大。3つの独立した工場だが、ハリケーンの直撃などの自然災害で3つの工場がすべて止まる可能性があることから、ルイジアナ州に工場を作ることを決断。塩ビモノマーの供給を受けているダウケミカル社があるアディスに59万tの工場建設を98年に決定し、01年に立ち上げた。その後、ダウが撤退を検討したため、一貫工場の建設を計画。プラクマンに新工場を建設することを04年に発表。05年1月に州知事公邸を訪ねて計画を説明。同年2月に建設許可申請、同年7月に第1工場の許可を取得した。その後、第2工場の許可も取得し、第1工場は第1期が08年、2期は10年に完了した。第2工場は、原料工場の能力を倍増する計画で11年に完了した。ルイジアナ州では7年間で2500億円を投資しており、雇用者は約350人。現在、アディス工場では塩ビの生産能力を59万tから89万tに拡大する増設工事を実施中。また、ルイジアナには14億ドルを投じてエチレン工場を建設する計画を4月に発表している。
全国農業協同組合連合会は、競争力のある穀物を日本に安定供給する目的で、79年にルイジアナ州法人全農グレイン(株)を設立。82年に輸出エレベーターをコンベントンで稼働させている。15年の年間取り扱い数量は1200万tで単独では世界最大となる。