商業施設新聞
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No.527

最先端の工場見学記


永松 茂和

2015/10/13

つくば工場の外観
つくば工場の外観
 先日、機会があり、工場見学に行ってきた。見学したのは調剤薬局大手の日本調剤の製造子会社である日本ジェネリックつくば工場。日ごろ、商業施設関係のスーパー、ショッピングセンターなどの内覧が多いため新鮮な印象を受ける。何を生産しているかというと社名のとおりジェネリック医薬品だ。

 日本調剤は病院前などに全国で500店以上も出店している、この業界では大手企業だ。最近よく耳にするジェネリック医薬品とは、物質特許が切れた医薬品を他の製薬会社が製造・供給する医薬品であり、ほぼ同じ主成分となっている。

 日本は、他の国に比べ高齢化が進んでいるため、国では社会保障費を削減すべく、ジェネリック医薬品の強化に取り組んでいる。アメリカ、イギリス、ドイツなどの先進国ではその普及率が70%近くにも達している一方で、日本ではまだ20%程度の普及率にとどまっているため、財政難に苦しむ日本政府が医薬分業を進めるためジェネリック医薬品の普及を促すのは当然といえる。

 そして、国が先ごろ社会保障を歳出の重点分野に据え、医療費増加抑制策の一環として、ジェネリック医薬品の数量ベースでのシェアを、18年度から東京五輪が開催される20年度までをめどに80%以上に高めようというものだ。当然、ジェネリック医薬品を積極展開している同社の役割は重要であり、前置きは長くなったが、今最も話題となっている日本ジェネリックつくば工場を見学する機会に恵まれたわけである。

工場内の造粒設備
工場内の造粒設備
 さて、つくば工場であるが、同工場は研究学園都市であるつくば市の、自然豊かな筑波北部工業団地内の広大な敷地約7万5000m²に立地しており、延べ3万7464m²のうち約半分が稼働している。何分、自分に薬の知識があまりないせいか、各製造工程の設備を見てもピンと来ない。言えるのは、通常の食品、機械工場のイメージとは離れた非常に清潔なもので、以前見て驚いた半導体工場のクリーンルームにも匹敵するような設備だ。ただ、外部からの異物の混入を極力避けるため、出入り口を最低限の2カ所に抑え、工場設備外の各所にゴキブリホイホイのような昆虫検査装置が置かれていることなど様々なリスクを回避する注意がされていることがよくわかる。

 会社側の説明では、まだ新しい工場であるため、流動造粒コーティング装置、完全自動化の打錠機、集中管理システム、製造管理システムなど最先端設備を導入しているという。同社では、さらに170億円規模を投じ、延べ3万m²規模のつくば第2工場の建設を決定した。総生産能力は年100億錠で、現つくば工場と合わせた生産能力は145億錠に拡大する見通しだ。何気なく病院で処方される薬であるが、医療費削減の意味からも前向きにジェネリック医薬品を使用するのが重要なことなのかもしれないと気づかされた工場見学であった。
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