2015年8月、韓国の中央省庁とソウル市は「漢江の自然性回復及び観光資源化の推進方策」を発表した。この方策を簡単に言うと、ソウル市西側の汝矣島(ヨイド)エリアに複合文化施設を開発するなどし、ヨイド一帯を大規模な文化観光ハブとするものだ。
具体的には16年から18年までに、ソウル地下鉄5号線のヨイナル駅隣の漢江水際に埠頭型水上船乗り場と、韓流文化の展示空間や各種の商店などの施設が入居する「(仮称)ヨイマル」を造成することなどが盛り込まれている。
実はこの計画には紆余曲折があった。ヨイドは漢江に浮かぶ島(中洲)だが、ソウルオリンピックの際は観光名所として賑わった。韓国政府は漢江を再び海外からも観光客が訪れる“名所”とすべく、漢江エリアを7つの圏域に分けて、開発計画を打ち出そうとした。
しかし、問題が発生する。政府側は「観光資源化」に重点を置く反面、ソウル市側は「生態系復元」を主張した。1年間余りの議論のなか、ソウル市と環境市民団体の反発などによって、政府はヨイド一帯を開発した後、他の圏域に拡大していくことにした。
ヨイド一帯に限定した開発となるが、計画は動き出しており、政府とソウル市はヨイド開発のため、17年までに国費・市費2591億ウォンと民間資本1462億ウォンなど総額3981億ウォン(約419億円)を投資する方針だ。このうち、生態系の復元には988億ウォン(約104億円)を費やす。
ソウル市は、今回の漢江観光活性化のプロジェクトと連携し、ヨイドをはじめとする漢江水際一帯を特別建築区域に指定する計画だ。特別建築区域に指定されれば、建物の高さや日照権など様々な規制が緩和される。
市は一連の計画により、「韓流ブーム」を再燃させて、ソウルに対する文化観光イメージをアップさせたい狙いだ。果たして外国人観光客にも受け入れられる名所になるか否か、注目されている。