4月に行われたファインテック ジャパン(東京ビッグサイト)において、専門技術セミナー「医療機器産業の将来像とITとのクロスオーバーの可能性」が行われ、本紙を発刊する(株)産業タイムズ社 代表取締役社長の泉谷渉、EIZO(株) 映像商品開発部 商品開発1課の開発マネージャーの大音洋一氏が講演した。
泉谷の講演タイトルは、「メディカルデバイスの新時代が到来!~革新的な半導体、センサー、電子部品、ディスプレイの動向~」。アベノミクス成長戦略の軸に位置づけられた医療、日本病院の世界展開において、三菱重工業、住友重機械工業、ソニー、テルモ、東芝、日立製作所、NEC、オリンパス、三菱電機など日本を代表する医療機器関連企業と、北原脳神経外科病院、大阪大学附属病院、名古屋大学附属病院、相澤病院、麻田総合病院、北斗病院、東京医科大学、国際医療福祉大学といった世界最高レベルにある日本の病院がジョイントして世界展開が開始されたこと、その数は少なく見積もっても22カ国以上に上ることを紹介した。
また、世界の医療マーケット規模は、2020年に現在の2倍の40兆円と予測。日本が得意とする最先端がん治療、iPS細胞再生医療、内視鏡/カプセル内視鏡といった分野での成長への期待を述べたうえで、MEMSをはじめとするセンサー、高精細ディスプレー、一般電子部品といった高度な技術を持つ日本の企業が医療機器に参入を図り、また、拡大する様子を説いた。
続いて、EIZO(株)の大音氏は、「適切な画像診断を支援する医用ディスプレイ」について講演した。同社のモニタービジネスとFlexScan、FORIS、Raptor I RE/Vue、DuraVision、次世代手術室向け映像システムのCuratORなどの製品ラインアップを説明した。
このうち、RadiForceシリーズの特徴として、表示安定化技術(ムラ補正、諧調特性補正/ガンマ補正、輝度・色度補正)、明所コントラストを大幅に改善する同社のAR仕様技術、ハイブリッドガンマ機能(カラー画像/モノクロ画像の自動判別と最適表示)、セルフQC機能(PC電源オフ時もモニター単体でQCの実施が可能)、劣化抑制と消費電力低減(バックライトセーブ機能、人感センサー)などを解説した。
バックライトセーブ機能の効果は、救急外来処置室や病棟のスタッフルームで86.4%、病棟などの面談室/カンファレンス室で92.4%に達し、全体のモニター使用時間の減少は88%に達している。
今後の課題として、表示性能の向上では、コントラスト、表示面の反射低減においてまだまだ改善の余地があるとしており、メガ液晶やOLEDにも注目している。
長寿命化では、カラーモデルの寿命をモノクロモデルに近づけ、低消費電力化においては、スタイリッシュでFANレスモニターを実現し、さらに、対環境変動や経年劣化の対策による安定性の一層の向上を挙げた。