本紙では「駅激戦区」というタイトルで首都圏の主要駅と周辺の状況を連載している。先日は、埼玉県の南端に位置するJR京浜東北線「川口駅」を連載で紹介した。過去には隣接する足立区から待ち合わせの場所として利用したものだ。当時と比較すると駅前再開発事業で「川口キュポ・ラ」が整備され、丸井はパチンコ店へ、サッポロビール埼玉工場は「アリオ川口」へと生まれ変わり、街は絶えず進化しているものの、昔の面影と印象は今も心に残っている。
川口市の基幹産業であった鋳物工場の溶解炉や煙突はキューポラと呼ばれ、女優の吉永小百合さんが主演した映画「キューポラのある街」でも多くの人々にその記憶を残す。昭和の時代には街の方々から煙が上がっていたが、それらの工場も廃業が相継ぎ、跡地は都心に近いこともあり、マンションや集合住宅に生まれ変わっている。東京駅まで電車で30分圏内であることを考えると、ここでのマンション生活も楽しいかもしれないと思えてくる。
川口駅は東口に百貨店や大型商業施設が集積し、商店街も形成されている。駅前交通ロータリーには、定期巡回バスが周辺の住宅地とネットワークを形成し、旧鳩ヶ谷市や植木の町「安行」、さらに草加市や東京・足立区からも買い物や飲食などを目的として人々が集まってくる。駅前にはペデストリアンデッキが設けられ、1991年10月に開業した「そごう川口店」が街のシンボル的な商業施設といえるだろう。その南側には複合商業ビル「KAWAGUCHI CASTY(川口キャスティ)」、北側には「PIA」の屋上看板が目立つ複合商業ビル。これは04年1月に閉店した丸井川口店の跡にパチンコ店や紳士服専門店や100円ショップが出店しているものだ。
また東口ロータリーの南側には06年3月に川口1丁目市街地再開発事業としてイベント広場が整備され、隣接して商業・公益ビル「川口キュポ・ラ」が建設された。当時は雑居ビルと遊休地の駐車場であったが、21年の歳月をかけて多目的広場や商業施設、図書館・公共施設、集合住宅に生まれ変わった。
街といえば百貨店や複合商業施設とともに人々の生活感が伝わる商店街も魅力の一つだ。川口駅の場合、西口は高層マンション群が整備され、多くの住人は東口へショッピングや食事に訪れている。そごう川口店とキャスティの裏手、東側には商店街が広がっており、居酒屋やラーメン店、カフェ、カジュアルレストランなどが営業している。さらに露地や歩道沿いには「コモディイイダ」や「ドン・キホーテ」、「ザ・プライス川口店」など生活密着型の店舗も多い。
以前、サッポロビール埼玉工場に併設されたビアレストランへ何度か食事に訪れたことがあったが、05年11月に「アリオ川口」として生まれ変わった。川口はコンパクトな街に多種多様な商業施設がある。猛暑が落ち着いたら、その街を飲み歩きしたいものだ。