商業施設新聞
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No.519

多様化する空港 ついに車が進出


若山 智令

2015/8/18

 東京・羽田空港に新たな施設が誕生した。メルセデス・ベンツ日本(株)が、新たなブランド情報発信拠点として開設した「メルセデスミー 東京羽田」だ。空港に車のブランド発信拠点がマッチするのかと考える人もいると思うが、そこには同社のマーケティングが光っている。

羽田空港第2ターミナルに開設した「メルセデスミー 東京羽田」
羽田空港第2ターミナルに開設した
「メルセデスミー 東京羽田」
 「メルセデスミー 東京羽田」は、羽田空港第2旅客ターミナルの地下1階に開業した。ドイツのハンブルク、イタリアのミラノに次ぐ世界3番目の施設で、もちろんアジアでは初めてのオープンとなった。最新車種、希少車種を常時展示するギャラリー、ブランドの世界観を感じることができるラウンジ、ここでしか買えない商品もあるショップ、飲食店で構成している。

 同社は六本木で展開しているコンセプトショップ「メルセデス・ベンツコネクション(東京)」でもカフェを導入しており、今回はリヴァンプのグループ企業である「エッグセレントバイツ」「クリスピー・クリーム・ドーナツ」を展開した。メルセデス・ベンツ日本は、パートナーとなる企業を選ぶときに「ものづくりへのこだわり」ということを大事にしている。先述したメルセデス・ベンツコネクションのカフェもこの考えのもと、ドリンクプロデューサーにラテアートの世界チャンピオンを迎えるなど、品質にもこだわっている。ベンツは品質が評価されて世界有数のカーブランドとなった。こうしたこだわりは車だけでなく、他の分野でも大いに活かされているようだ。

 さて、空港に車のブランド発信拠点はマッチするのか、という話に戻す。空港は不特定多数の人が訪れる場所ということで、まず人の目にとまる。また、同施設では車の販売をしないため、販売店には入りづらいという人も気軽に訪れることができる。こうすることで、多くの人がメルセデスブランドを知る“きっかけ”になり、これがブランドイメージの向上、ブランド力の強化にもつながる。

 また、羽田空港は世界の玄関口にもなっている。「空港という様々な人が集まるロケーションにブランド情報発信拠点を開設することで、輸入車ナンバーワンのポジションを揺るぎないものにしたい」と、メルセデス・ベンツ日本の上野社長はコメントした。羽田空港にブランド情報発信拠点を開設する意味合いは大きく、買う買わないは別にしてもブランドを身近に感じることができるのは、企業側、消費者双方にとってメリットが大きい。

 したがって、空港に開設するのはブランドにとって大いにプラスになると思う。しかもベンツのような高価格帯の商品を扱うものになればなるほど、効果が高い。今後は車だけに限らず、空港には様々な業界のブランド情報発信拠点が設置されていくかもしれない。
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