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No.21

米国ケンタッキー州投資セミナー、盛況裏に終了、ビジネス環境など紹介


2015/7/21

ケンタッキー州政府経済開発省 ラリー・ヘイズ長官
ケンタッキー州政府経済開発省
ラリー・ヘイズ長官
 ケンタッキー州政府経済開発機構主催による「米国ケンタッキー州投資セミナー」が6月22日、東京都内で開催された。冒頭にケンタッキー州政府経済開発省のラリー・ヘイズ長官が挨拶し「ケンタッキーはビジネスに適した場所。(今回のセミナーで)皆さんにケンタッキーについて深く知ってもらえることを嬉しく思う。ぜひケンタッキーにお越しいただきたい」と呼びかけた。

 セミナーでは、ケンタッキー州政府経済開発省のエリック・ダンニガン副長官が「ビジネスに最適なケンタッキー」のテーマで講演し、ケンタッキー州のビジネス環境などについて紹介した。

 ケンタッキー州は米国東部34州の中心部に位置しており、人口は440万人で、州都はフランクフォート。伝統のある場所で、ケンタッキー・フライド・チキンやスティーブン・フォスターの「ケンタッキーの我が家」、バーボン、ケンタッキーダービーなどで知られており、リンカーン大統領やモハメッド・アリの出生地である。

 ビジネスでは、市場へのアクセス、環境、人が重要となるが、ケンタッキー州はそのすべてを備えている。成田から直行便があり、米国でのロジスティックスの中心でもある。自動車で1日に移動できる範囲に米国の人口の3分の2が集中しており、飛行機で2時間以内で米国内の主要都市に到着できる。州内には19本のインターステート・ハイウエイが整備されており、国際空港は2カ所。DHLとUPSのハブがある。鉄道ネットワークのほか、河川も貨物の輸送に使用可能だ。

 ケンタッキー州での投資の30%が外資企業で、新規雇用のうち20%が外資企業によって生み出されている。日本企業は170社以上が進出しており、4万1000人の雇用が創出されている。ジョージタウンにレクサスが工場を建設しており、日本発条、トヨトミ、サントリー、ティラドなどが進出している。

 ケンタッキー州にとって日本は7番目に大きな輸出先で、14年の輸出金額は12億7000万米ドル。州内には7つの日本語土曜学校があり、日本の都市と姉妹都市関係を結んでいる都市もある。

 また、米東部の中では最もエネルギー・コストが低く、米国平均からも20%近く低い。教育水準も高く、トヨタはレクサスの最高級モデルをケンタッキー州の工場で製造しており、このことも優秀な人材が揃っていることの証拠となる。人材育成にも努めており、労働力確保の観点でもケンタッキー州は重要としている。ダンニガン副長官は、「ケンタッキーでのビジネスをスタッフ一丸となって支えていく」と締めくくった。

 続いてジェトロ海外調査部米州課の山田良平課長が「在米日系企業の動向と製造業回帰について」のテーマでプレゼンテーションし、製造業の米国回帰の現状を紹介。米国で作ることがそれほどコスト高ではなくなってはいるが、うなぎのぼりに米国回帰が増えているのではなく、底を打った感じで回復しているとした。

 最後に「何故ケンタッキー州に」のテーマで(株)興和工業所代表取締役社長の六車壽夫氏が講演した。

 同社は溶融亜鉛めっきを中心とした各種表面処理をメーンに手がけており、金属加工から組立までの一貫での生産を目指している。名古屋市を中心に国内12工場と中国山東省に工場を所有。中国工場は特定の1社に向けた工場となっている。

 ガソリンとバイオ燃料を混焼させる傾向や新興国での粗悪なガソリンに対応するため、自動車の燃料配管向けに無電解めっきが伸びており、配管内部にめっきするニーズが出てきている。米国市場向けは、今までは国内の工場で対応していたが、現地調達のニーズが高まってきており、顧客のうちの1社から米国への進出の要請があり、検討の結果、技術指導を行う形に落ち着いた。その後、新たに別の顧客からも進出の要請を受けて、改めて検討した結果、独自の工場をケンタッキー州コービンに設置することにした。

 14年4月に新会社を設立。同年8月には土地と建物を購入。工場は自由にレイアウトできるようになっており、現在レイアウトはほぼ終了。7月に設備の最終設置を完了して試作を開始し、16年2月から顧客に納入する予定である。

 ケンタッキー州はジョージタウンにトヨタの工場があり、日系企業が多く進出。「政府の日系企業に対する支援が身近に感じられた」(六車社長)ことから、進出を決定した。14カ所の候補地から、市独自の支援があったことや他の町へのハブ的な位置にあること、将来の拡張なども視野に入れてコービン市に立地した。現在、人事マネージャーを雇って雇用契約を策定している。今後環境マネージャーやスタッフを雇っていく予定で、六車社長は「まずは無電解ニッケルめっきを立ち上げるのが最大の課題だが、拡販、ほかの分野への進出へと広げていきたい」と今後の抱負を語った。
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