九州旅客鉄道(株)(JR九州)は4月16日、新大分駅ビル「JRおおいたシティ」を開業した。初日に約11万6000人が来館し、開業1カ月(4月16日から5月13日の28日間)で、来館者数は約320万人に達した。開業1年間で来館者数約1100万人、売上高約200億円を目標にしており、想定を上回るスタートとなっている。
九州の鉄道網は中央を南下する鹿児島本線が中心で、小倉駅~博多駅~熊本駅~鹿児島駅と主要都市を繋ぎ、賑やかさを創出している。小倉駅から東側の海岸線を南下する日豊本線は、どうしても鹿児島本線に対する裏側のイメージがあり、都市の発達が遅れている。その意味でも、最新モデルの駅ビル商業施設の誕生は刺激的であり、初めて日豊本線に花が咲いたような感じさえする。
新駅ビルの外観は遠くから見ると、タワーの高さが目立つ程度。駅正面の8階建て部分は駅に組み込まれ、駅舎として同化、外壁はシックで落ち着いた色使いになっている。
2004年にオープンしたJR鹿児島中央駅の「アミュプラザ鹿児島」は外壁がピンク系で、屋上に観覧車を据えて、ランドマークであることを主張していたが、JRおおいたシティは近年のトレンドである周囲の景観に馴染むような造りであり、まさしく最新モデルである。
大分新駅ビル「JRおおいたシティ」。
左側がタワー部
施設は駅正面部分が8階建てで、南側が21階建てのタワー部となっている。1~4階が専門店街「アミュプラザおおいた」、5~8階が駐車場で収容台数約860台(周辺駐車場を含め約2000台収容)、8階屋上部分はミニトレインなどを配した屋上庭園があり、このほかタワー部の8~18階には「JR九州ホテルブラッサム大分」、19~21階に温浴施設「シティスパてんくう」がオープンした。
「アミュプラザ大分」の店内はフロアが長方形で、豪華客船の船内にある商業施設でショッピングしているような居心地の良さを感じる。売り場面積は約3万6000m²で、224店が出店している(大分初出店119店、うち九州初18店)。このうち大型店は1400~1500m²クラスで、大分初出店の「東急ハンズ」、JR駅ビル初出店の「H&M」、書籍の「紀伊國屋書店」、そして、10スクリーン約1800席の「TOHOシネマズ」がある。もちろん飲食店もフードコート、レストランゾーン、カフェなど充実している。
19~21階の温浴施設は天然温泉で、地上80mからの眺望は大分市街地を一望できる。すでに1日900人が利用した日があるとし、人気を呼んでいる。
JRおおいたシティは子供から高齢者まで楽しめる駅ビルとなっており、駅前に再開発の計画も浮上した。小さな花が周辺を呼び込み、大輪にさえなる予感がする。