商業施設新聞
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No.505

懐かしきユースホステル


永松茂和

2015/5/12

 ユースホステルと言っても今の若い人にはあまりピンと来ないかもしれない。施設の数を見ても最盛期の1974年には600近くあったものが2000年には330、直近の13年には220施設まで減っているため、見かけなくなったのも無理からぬことである。実際、地元の千葉県でも2件しかない。

 ユースホステルは会員制であり、現在は素泊まりで3000円弱だが、昔は1500円前後で高校や大学時代に利用したことを記憶している。安い理由は、客室に2段ベッドが数セットあり、基本的には相部屋だったためだ。かすかな記憶では夕食後に初対面の人たちが一つの部屋に集まり話し合ったり、施設によってはキャンプファイアーなどを実施していた所もある。簡単に言うと、健全で宿泊費用は安いものの、プライバシーは若干犠牲になるということである。今ではネットカフェやカプセルホテル、格安ホテルの台頭により、個人を優先する若者にとっては敬遠される施設となりつつあるのも時代の流れといえる。

ユースホステルを思い出させる客室
ユースホステルを思い出させる客室
 ところでなぜユースホステルの話を引き合いに出したかというと、4月中旬にJR秋葉原駅と浅草橋駅に程近いところにオープンし、内覧会に行った「グリッズ秋葉原」の客室の一部がどこかユースホステルに似ていたからだ。同ホテルは、サンケイビルが外国人観光客向けのゲストハウス型ホテルとして開発したものであり、そのPODと呼ばれる2段ベッドタイプがユースホステルをなぜか想いださせる。同客室タイプの場合、宿泊料金も1泊3300円からとリーズナブルな設定だ。


 東京五輪を控え、外資系高級ホテルなど出店ラッシュが続いているが、これとは対極のどこか懐かしさを感じる施設である。一度、泊まってみたい気持ちになってきたのは言うまでもない。
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