商業施設新聞
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No.504

韓国で免税店の競争が熾烈に


嚴 在漢

2015/4/28

 韓国で免税店事業権を獲得するための競争が熾烈化している。韓国関税庁は、中国観光客(遊客)の爆発的な増加で免税店の需要が増加していることから、ソウル市内で3カ所の免税店を追加で許可する方針であり、各社はこの事業権を狙っているのだ。事業者は7月中に選定、発表する予定であり、合弁会社を設立する動きもある。

ソウル市内の免税店
ソウル市内の免税店
 関税庁によると、韓国の免税店市場規模は、2010年は4兆5000億ウォン(約5000億円)だったが、13年には6兆8000億ウォン(約7555億円)まで膨らんだ。さらに14年は8兆3000億ウォン(約9222億円)へと前年比22%も急成長している。


 今回、新たにソウル市内に3カ所の免税店を整備するが、そのうち2カ所は大手企業に、1カ所は中小企業に割り当てられる。これまでは免税店の事業権を大手企業だけが握っていたが、中小・中堅企業も事業を行えるように韓国政府が法改正を行った。
 この2カ所の大手企業向けの免税店事業権を獲得するため、ロッテ百貨店、現代百貨店、現代産業開発、新世界(ホテル新羅)、韓火などが競っている。

 その最中、現代産業開発とホテル新羅は、免税店事業参入に向けて合弁会社を設立した。現代産業開発は、ソウル市龍山(ヨンサン)にあるショッピングモールを免税店候補地とし、延べ28万m²という韓国最大規模の免税店建設を目指す。龍山は、最近、韓国西南部の光州まで全線開通したKTX(韓国高速鉄道)の出発点であり、交通ハブの利点と、新羅免税店の運営ノウハウを生かし、遊客向けショッピングエリアの名所を作り上げる計画だ。

 しかし、韓国免税店事業は、必ずしもバラ色の未来ではない。ロッテとホテル新羅は、仁川空港で毎年それぞれ200億ウォン(約22億円)程度の赤字を余儀なくされている。

開店前から免税店を訪れた女性観光客
開店前から免税店を訪れた女性観光客
 関税庁は、新規免税店の評価基準を経営能力(300点)、管理能力(250点)、観光インフラなど周辺環境要素(150点)、経済・社会発展の貢献度(150点)、社会還元および共生協力の努力(150点)と公示している。
 オンラインを除く韓国流通産業では、百貨店や大型割引店ともに実績低迷に苦しんでいる一方、市内免税店だけは伸びている。韓国では、果たしてどの企業に新規免税店の免許が与えられるかに注目が集まっている。
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