KT(韓国通信)やSKテレコム、LGユープラスなどの3社は、2025年にハッキングによる大規模な情報流出などの余波で業績下振れを余儀なくされた。26年は苦境を乗り越える切り札として、人工知能(AI)事業に積極的に取り組んでいる。25年は従来の主力である通信事業の依存度を低減し、大規模なAI事業への投資を行った。
KT(京畿道城南市)は、AI事業のパートナーであるマイクロソフト(MS)とのコラボを強めている。24年6月にKTはMSと提携し、「韓国型AIやクラウドのエコシステム」構築のために、向こう5年間で2兆3000億ウォン(約2500億円)を投じることとした。KTは29年までにAI事業だけで4兆6000億ウォン(約5000億円)の累積売上高の達成を目指している。子会社のKTクラウド(ソウル市江南区)を通じて、AIデータセンター(AIDC)事業も積極的に進めている。売り上げも急増しており、KTクラウドの25年7~9月期売上高は前年同期比20.3%増の2490億ウォン(約229億円)を計上した。KTクラウドは加山のAIDCにて、26年4月に韓国初の液浸冷却サービスを実用化させた形態で提供し、30年までにAIDC容量を320MW強に拡大する計画だ。マシンラーニングや推論など高性能コンピューティングの需要増に対応し、電力消費量を下げるために26年に開所予定の富川(京畿道)、安山(京畿道)、開峰(ソウル市九老区)のAIDCにも水冷式(液浸冷却)を採用する方針だ。
SKテレコム(ソウル市中区)は、25年9月に全社のAI力量統合の精鋭社内組織である「AI CIC(Company In Company)」を設けて、事業の生産性と効率性を高めるAIイノベーションに踏み切った。AI CICは、向こう5年間に5兆ウォン(約5435億円)規模のAI投資を行う計画だ。そして30年までに年商5兆ウォン強の達成を目指している。同社はAWS(アマゾンウェブサービス)とコラボし、韓国蔚山(慶尚北道)に建設中のAIDC容量を1GW強に拡大する計画だ。オープンAIとも韓国西南エリア(全羅南道)にAIDCを建設している。SKテレコムもまた、ソウル市の九老区エリアに新規のAIDC建設を進めている。
LGユープラス(ソウル市龍山区)は24年11月、新社長の就任を契機に、AIDC事業を核心的な成長軸と定めてAI転換(AX)に踏み切っている。同社は京畿道坡州(パジュ)に6156億ウォン(約669億円)を投じAIDC建設を進めており、27年完成を目指す。これはLGユープラスが持つ平村(京畿道安養市)メガセンターの2倍、平村第2センターの9.7倍規模に達し、サーバー10万台以上が収容できるハイパースケール級のデータセンターとなる。同社は坡州のAIDCを拠点とし、年間7~8%という高成長を目指す。LGユープラスの25年7~9月期全社営業利益は1617億ウォンと前年同期比で34.3%減少したものの、AIDCの売上高は14.5%増の1031億ウォン(約112億円)を記録している。