商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第468回

DAIWA CYCLE(株) 代表取締役社長 涌本宜央氏


早期に200店体制構築へ
出張修理など独自施策も特徴

2025/2/10

DAIWA CYCLE(株) 代表取締役社長 涌本宜央氏
 DAIWA CYCLE(株)(大阪府吹田市)は、大阪府内を拠点とした自転車専門店である。出張修理に限らず、プライベートブランド(PB)の電動アシスト自転車やスポーツバイクの開発など独自性のある取り組みに加え、近年は商業施設内にも店舗網を拡大。2023年11月には上場し、関東や関西を中心に早期に200店体制の構築を目指している。今後の展開も含め、同社代表取締役社長の涌本宜央氏に話を聞いた。

―― 貴社の概要から。
 涌本 当社は1980年に近鉄八尾駅前での駐輪場経営からスタートした。82年からは駐輪場の一部に自転車販売店を併設したが、自転車の大型ロードサイド店やホームセンター、ディスカウントストアのような競合店が近隣に開業し、経営が厳しい状況になっていた。そこで99年に自転車専門量販店のチェーン展開を目指し、八尾市内に1号店をオープン。その後、松原市や守口市に出店して大阪府内で店舗網を拡大した。2007年に関東、10年には中部にも進出し、店舗数は100店を突破して現在は132店になっている。

―― 3つのブランドを展開されています。
200店体制に向け店舗数を拡大(写真は3月に開業したダイワサイクルさいたま新都心店)
200店体制に向け店舗数を拡大(写真は3月に開業したダイワサイクルさいたま新都心店)
 涌本 メーンは、ロードサイドに展開する「DAIWA CYCLE」だ。規模は100~250坪で、立地は些細な用事でも店舗を訪れられ、日常使いしてもらえるよう自転車や歩行者が通る生活道路沿いへ意識的に展開している。
 もう一つのブランドは、「DAIWA CYCLE STYLE」である。主に、ショッピングモールで展開し、規模は約40~100坪を基準に出店している。店舗づくりでは、ショッピングモールを訪れるファミリー層を意識し、道路交通法の改正で注目を集める電動キックボードなど話題性のある商品も取り入れている。
 そのほか、スポーツバイクを専門的に取り扱う「DAIWA CYCLE PRO」も展開している。この業態は、お客様の脚や腕の長さに合わせ、ハンドルの持ち手やサドル、ペダルの位置を調整し、独自のスポーツバイクを提供している。

―― 独自サービスの出張修理がありますね。
 涌本 自転車のような日常品はすぐに修理してもらわないと困るのではないかという思いから、このサービスを始めた。当社の出張修理というのはお客様が電話やネットで申し込み、困りごとのある場所まですぐ駆けつけて、修理させていただく。このサービスのおかげで、当社で自転車を購入したいというお客様も増えている。大阪府内ではほぼどのエリアへも出張できるが、首都圏ではまだ実現できないエリアがある。ドミナント展開を強化し、大阪府内のような出張修理の状況を首都圏でも実現したい。

―― 自社商品の開発にも注力しています。
 涌本 電動アシスト自転車の自社開発を推進している。自転車業界で売り上げが伸びている商品である反面、円安などの影響で価格が年々高騰しており、購入できないお客様もいらっしゃるのが現状だ。そのため、当社ではPBの電動アシスト自転車を開発し、ナショナルブランドよりも低価格で販売している。また、スポーツバイクについても新ブランドを立ち上げ、開発を進めている。こうしたPB商品の開発に注力することで、利益の改善や他社との差別化を図ることにもつながっている。

―― 23年11月に上場されました。狙いは。
 涌本 200店、さらにその先の拡大を考えた際に、出店資金の調達や店舗の知名度向上、さらに社会的信用を高めるために株式上場を目指した。

―― 今後の展開は。
 涌本 特に関東においては、当社が成長する余地があると考えており、店舗数を拡大していく。店舗について、都心部では家賃が高く、これまでのロードサイド店舗の出店基準だと経営的に厳しい側面がある。そのため現在、サイズを小さくした店舗の開発にも取り組んでおり、都心部ではこの形の店舗を出店していく予定だ。加えて、既存の出店エリアに関しても出店拡大を進める。こうした出店戦略により業容拡大を図り、次のステージを目指していきたい。


(聞き手・北田啓貴記者)
商業施設新聞2576号(2024年12月17日)(5面)
 ズームアップ!注目企業インタビュー

サイト内検索