韓国・ソウル市は、中心部の中区エリアで都心開発が比較的に遅れている「世運地区(世運商店街)」を、韓国文化を象徴するランドマーク空間として再開発する。一帯を大規模な公園と劇場などを備えた「高品格の文化都心」として再生し、米ニューヨークのブロードウェイや英ロンドンのピカデリーに匹敵する、世界的な文化・観光名所にする計画だ。
ソウル市によれば、世運(セウン)再整備促進地区内の「都心公園の造成事業」に編入される土地などに対する補償計画を確定、公告した。今回の補償計画は構想段階にとどまっていた開発案を実行するべく、本格的な手続きがスタートしたということだ。プロジェクト案によれば、ソウル市は中長期的に世運商店街を世界的な公演・文化クラスターとする計画だ。世運商店街一帯に劇場、イベント施設などを設け、Kポップなどのコンテンツと連携した文化空間に再生し、光化門広場(ソウル中心街)の3倍を超す大規模な公園(13万6000m²)を誇る「緑地生態都心」として建設する。同プロジェクト案はすでに再整備促進計画の告示とともに確定している。
その第1段階となる「公共文化拠点」推進プロジェクトでは、該当エリアをソウル市が直接買い取るなどし、地上には1万1422m²規模の公園を造成し、地下には1500席規模の韓国最大のミュージカル劇場を作る。総事業費は4500億ウォン(約484億円)となり、具体的な施設計画は2025年に設計公募を通して確定するが、31年12月の完成を目指している。
第2段階の中長期的な推進プロジェクトとしては、30年ごろから商店街を周辺地域とともに再開発する計画がある。また、民間が運営する民間文化拠点には指定用途および許容容積率に対するインセンティブを提供し、文化施設を供給する場合は追加的な容積率の緩和を検討する。具体的には鍾路エリアの劇場文化の全盛期を牽引したソウル劇場やピカデリー劇場などがあった鍾路3街駅(地下鉄1、3号線)エリアには多目的の公演場と展示場、若者文化空間の導入を検討する。
また、ソウルシネマパークやメンボアートホールエリアの文化拠点と連携した「忠武路の公演・メディアコンプレックス」を建設する。つまりは、韓国映画界のメッカである忠武路(チュンムロ)のレガシーを再生する計画だ。地下鉄3、4号線の乗換駅である忠武路駅エリアには多目的の公演場やメディア、ギャラリーなど複合文化施設を導入し、展示やメディアのコンプレックスを造成する。さらに、忠武路一帯に「カルチャーストリート」を作り、前述3カ所の文化拠点をつなげて韓国文化の総本山として完成させる。