商業施設新聞
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No.494

有意義な一日


永松 茂和

2015/2/17

 日頃から商業施設関係の内覧会などの取材にはよく出かけるが、先日、機会があり、千葉県佐倉市に3月1日に開業する介護付き有料老人ホームの内覧会に行ってきた。老人ホームはまだ遠い存在と思っていたが、ふと我を見るとそれほど遠くはないどころか、近くに迫っていると言ったほうがよく、複雑な気分になってくる。自分も高齢化社会の波に飲まれつつあるのだと実感する。

 新しく開業する施設は不動産会社の山万グループが開発する「ミライアコート宮の杜」。佐倉市のユーカリが丘エリアに新設した施設であり、4072m²の広大な敷地にS造りの4階建ての建物、73室の居室が設けられている。

3月1日にオープンする「ミライアコート宮の杜」
3月1日にオープンする「ミライアコート宮の杜」
 都内から電車で訪れるには、京成本線ユーカリが丘駅から山万ユーカリが丘線に乗ることになるが、名前に山万と冠されているように民間企業の同社が運営するするユニークな鉄道であり、力の入れようがよくわかる。単線でわずか6つの駅しかなく駅の名前も公園駅、女子大駅、中学校駅など素朴であり、乗っているとほのぼのとする路線だ。老人ホームがある駅は中学校駅から約3分のところで、都心部の駅前によくあるパチンコ屋もないし、商店街もない。近くにはマックスバリュがあるだけで自然豊かな立地といえる。宮の杜公園、錦が池、八社大社の鎮守の森に近接しているため当然といえば当然だ。

ゆったりとした居室
ゆったりとした居室
 老人ホームの開業式は、控えめであろうと思っていたが、佐倉市長や周辺住民150人程度が参列する華やかな式典となった。そして最初に内覧で通されたのが居室だ。基本はベッド、トイレ、洗面所があり、家具は自由に持ち込むことができる。通常の介護老人ホームは、専有面積13m²あれば基準を満たせるが、この施設の場合、サービス付き高齢者住宅機能も持つため、この基準である20m²前後の広さがあり、ゆったりとした感覚だ。また、風呂は体の状態に応じ、さまざまな浴室を用意し、比較的元気な入居者は檜の浴室も用意されている。

檜風呂も完備
檜風呂も完備
 当然、体のケアも万全で、食事付きで健康管理室に看護士が常駐するほか、近接には循環器クリニックがあり、救急時には東邦大学医療センターさくら病院、聖隷佐倉市民病院と連携しているため安心感がある。地域のお年寄りの方も興味深げにスタッフにさまざまな質問を投げかけており、関心の高さがよくわかる。

 同施設は60歳以上の要支援、要介護者が対象となるが、気になる入居料金は入居時の前払い家賃として600万~900万円を支払い、あとは終身まで毎月管理費、食費、おむつ代、診療費など20万~25万円を支払うというものであり、思ったよりもリーズナブルな印象を受ける。オープン前にもかかわらず20人の入居が決定している。米国では元気なうちから入居できる施設もあり、このウエイトが高まっているという。

 老人福祉施設のことをもっとよく知っていれば見る観点も違っていたと思うが、非常に有意義な一日であった。
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