商業施設新聞
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No.971

生鮮食料品が売ってないと不便


北田啓貴

2024/9/3

 筆者の自宅から徒歩10分圏内にコンビニエンスストアやドラッグストアはあるが、スーパーマーケットがない。そのような地域は全国各地にあるし、普通のことだと思う人が多いのかもしれない。筆者もかつてはそう思っていた。しかし、最近自炊を始めたところ、料理に必要な肉や野菜が欲しいときに生鮮食料品を売っている店が近隣になく不便に感じるようになった。そのためか、近くのドラッグストアに行くと、大量の食料品をカートに載せて会計の列に並んでいる人もいる。生鮮食料品はないが、スーパーマーケットの役割をドラッグストアが果たしているのだ。近くにスーパーマーケットが出店できそうな土地もないので、不便な状況への解決策はないかと思っていた。

Food&Drug業態の「交野店」
Food&Drug業態の「交野店」
 そんなこともあって、(株)キリン堂が取り組むFood&Drug業態店の拡大に注目している。同社は、2019年から利便性向上を目的に生鮮食品の導入を進めており、100店以上で整備してきた。それに加えて、Food&Drug業態では、より買い回りしやすい広いスペースを確保して、生鮮食品コーナーを設けている。また、外観についても既存のものを改修せずに活用しているため、投資コストも比較的少なそうだ。筆者もFood&Drug業態である「交野店」(大阪府交野市)を視察した。青果においては、一般的なスーパーマーケットと同じような売り場の配置で、野菜や果物の品揃えが充実していた。それに加えて、鮮魚コーナーには刺身や寿司なども展開されており、精肉も含め品揃えにおいてはスーパーマーケットと遜色なかった。

 6月時点で、交野店以外にも「大淀新野店」(奈良県)、「羽束師店」(京都府)、「神戸桜が丘店」(兵庫県)、「石津南店」(大阪府)、沢良宜店(大阪府)の既存店計6店をFood&Drug業態へと転換してリニューアルオープンしており、今後も随時出店を拡大していく方針だという。

 関西においても、「クスリのアオキ」のような生鮮食料品が充実しているドラッグストアが進出しているが、キリン堂のFood&Drug業態店を見て、既存の店を生かした業態開発にも可能性を感じた。そういえば、自宅の近所にあるドラッグストアも「キリン堂」だった。Food&Drug業態に転換してもらえれば、非常に助かる。
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