商業施設新聞
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No.970

4年振りの成田空港


安田遥香

2024/8/27

 5月末、取材のために千葉県の成田国際空港を訪れた。思い起こすと、これが約4年振りの訪問だということに気付いた。パックツアーで海外に行った時はいつも成田発着だったし、LCCで北海道に行った際も第3ターミナルを使っていた。しかし、新型コロナウイルスの世界的大流行によって、成田まで行く機会が断たれてしまっていた。

 商業記者となって初めての訪問だったこともあり、成田空港が「一大商業施設」であることを初めて実感した。第1~第3のすべてのターミナルに商業エリアがあり、全体では約3万1000m²もの規模になるという。一部改修工事中の区画もあるが、それらを差し引いてもおよそ270店が営業中というのだから驚く。

 業種も物販から飲食、サービスまでおおよそのカテゴリーは揃っている。空港の物販といえば「ラグジュアリーブランド」のイメージが強いが、成田空港も例外ではない。保安検査を通過した先の制限エリアには「GUCCI」「PRADA」「HERMES」といったそうそうたる顔ぶれが並ぶ。インバウンドが戻っている今、こうしたブランドブティックはきわめて好調で、空港で1000万円級の高額商品を即決で購入する海外セレブもいる。

JAPAN FOOD HALLに出店している「銀座 篝」の鶏白湯ラーメン
JAPAN FOOD HALLに出店している「銀座 篝」の鶏白湯ラーメン
 一方、飲食に関しても和食・洋食・中華・エスニックなど幅広いジャンルを網羅している。筆者も今回の取材で初めて知ったのだが、成田空港は「食」という面で非常に評価が高いそうだ。CNNの報道によると、米メディア「フード&ワイン」が調査した世界で最良の飲食物を提供する空港ランキングで2位にランクインしたのが成田空港だったという。その評価を牽引したものの1つが、23年に第2ターミナルの制限エリア内にオープンしたフードホール「JAPAN FOOD HALL」だ。寿司、うなぎ、ラーメン、牛かつなど、インバウンドが日本で味わいたい食を中心に集積した飲食ゾーンで、10店が出店している。また、制限エリアにテラス席を設けており、航空機を間近に見ながら食事を楽しめる。成田空港によると、JAPAN FOOD HALLが制限エリア内にテラス席を設けた日本で唯一の事例だという。

 取材後、7月某日、少し早めの夏休みでイタリアに旅行に行った筆者は再び成田空港を訪れた。そこで取材の内容を思い出し、JAPAN FOOD HALLで食事をすることにした。「和」を感じられる木目調の内装は、確かにインバウンドに刺さりそうだ。頻繁にはお目にかかれない上質感のある日本食の数々は、嗅覚だけでなく視覚からも食欲を刺激した。今回は「銀座 篝」の鶏白湯ラーメンをいただいた。コクのあるスープと歯ごたえのしっかりした麺との相性が抜群で非常に美味しかった。トッピングなどのない一番スタンダードなラーメンが1900円とインバウンド価格ではあったが、そこはご愛嬌ということで。
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