2023年1月、アメリカのニューヨーク・タイムズが「52 Places to Go in 2023(2023年に行くべき52カ所)」を発表し、イギリスの首都ロンドンに続く2番目に岩手県の盛岡市が選ばれた。このニュースのインパクトは非常に大きく、「まさか盛岡市が……」、そんなニュアンスも含めながら様々なメディアで取り上げられた。最近では6月1日、テレビ朝日の番組『タモリステーション』の第12回「インバウンド最前線~訪日外国人に学ぶ日本の観光底力~」が放送され、番組内でニューヨーク・タイムズのライターで、盛岡市を推薦したクレイグ・モド氏が登場し、盛岡市内の建物と川や公園などの自然を交えたまち歩きが楽しいことや、コーヒー店、わんこそばのほか、ジャズ喫茶などの文化が根付き、魅力的な場所や店舗がたくさんあることが紹介されていた。
なお、盛岡市内中心部で進められていた中ノ橋通1丁目地区市街地再開発組事業の商業施設「monaka」が7月11日にオープンした。かつてあった大型商業施設「ナナック」の跡地に誕生した商業施設で、エリアの買い物需要の充足や、賑わいづくりの創出が期待される。開業に先立って、7月3日に関係者を集めた竣工式典が挙行され、県知事(代読)、青森市長のあいさつの中ではいずれも「イギリスの首都ロンドンに続く2番目に盛岡市が……」のフレーズが込められていた。
取材で何度か盛岡市を訪れたが、言われないと魅力に気付かない鈍感さは我ながら情けなくなる。盛岡城跡は緑が豊富で確かに居心地の良さを感じるし、ややや、よく見ると案外、個性的なしゃれた店舗が結構並んでいるなど、盛岡市街地がピカピカに見えてくる。駅前の冷麺店ばかりに目が行っていた自分が恥ずかしくなった。それでもニューヨーク・タイムズほどの権威はないが、本紙でもその年に開業した商業施設を選ぶ「今年の商業施設本紙10選」2022年版において、「盛岡バスセンター」を選んだ。盛岡市、盛岡地域交流センター、特別目的会社 盛岡ローカルハブによるもので、バスターミナルだけでなく、盛岡のソウルフードと呼ばれる福田パンなど飲食や物販、ホテル、スパを備える複合施設だ。地域の“ローカルハブ”として、盛岡出身のジャズミュージシャンである秋吉敏子氏の展示コーナーもあるなど、地元から愛される施設であり、地元から目を向けてもらえる施設として、開業から2年が経った今もそんな存在になり得ている。先ごろ開業したmonakaもそんな存在になって欲しい。