商業施設新聞
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No.961

明石で見つけた空き区画の活用策


北田啓貴

2024/6/25

 記者という職業柄、休日に街を歩いていても、空き物件や造成された空き区画が気になってしまう。空き区画では解体し、造成まで完了しているものの、建物が整備される雰囲気はなく、雑草で生い茂っている状態の場所も数多く見かける。日々の取材の中でも、施設の移転新築や建て替えの計画を進めたものの、建築費の高騰など現在の社会的な状況から着工に踏み切れないという声を聞く。ただ、筆者としては、着工できず空き区画になったままであるならば、たまにキッチンカーを招いて、小さな祭りを開催するとか、近所の駐車場として活用してもらうとか、周辺地域の賑わいを創出するような取り組みはできないものかと思ってしまう。

コンテナを店舗に活用する「AKASHI TIGER」
コンテナを店舗に活用する「AKASHI TIGER」
 空き区画活用の取り組みで最近おもしろかったのは、「ピオレ明石」などを運営するJR西日本アーバン開発(株)とローカルデベロッパー事業に取り組む(株)RETOWNに3月19日にオープンしたJR明石駅東側の高架下施設「AKASHI TIGER(明石タイガー)」だ。この施設では、広さ約280m²の空間に常設で4つの飲食店を導入。これらの店舗は、コンテナを改装したものとなっている。これにより、工期を短縮し、建築コストを抑えることに成功した。低リスクかつ低予算のテナント区画づくりをすることで、地元の個人事業主や中小企業、若手も出店にチャレンジできる空間にしている。また、施設内にはDJブースを配したライブスペースも併設されており、2013年以降、人口が増え続けている明石市にとっては、Z世代やミレニアム世代が集えるコミュニティスペースとしての活用も期待されている。

 コンテナを選んだ背景には、JR西日本アーバン開発がRETOWNと交わした契約期間は3年で、低リスク・低コストで店舗開発できるものとして導入を決めたという。もし、現在建築費の高騰などで着工に踏み切れず、空き区画を抱えている事業者がいれば、コンテナの活用も検討してもらうといいかもしれない。
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