商業施設新聞
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No.957

心配性の人間にとって阿蘇くまもと空港は最高だ


高橋直也

2024/5/28

阿蘇くまもと空港は搭乗ゲート(右側)とフードコート(左側)が数mしか離れていない
阿蘇くまもと空港は搭乗ゲート(右側)と
フードコート(左側)が数mしか離れていない
 この春、阿蘇くまもと空港を取材したのだが、予想以上に面白かった。本紙の記事中でも触れたが、搭乗ゲートとフードコートがとにかく近いのである。筆者のように心配性の人間は、飛行機に乗り遅れないように「出発の予定時刻の15~20分前くらいには搭乗が開始されて、その前の保安検査もどれだけ混むか読めないから45分前には空港に着きたい。あ、この空港は大きいから保安検査場から10分くらいは歩くかもしれない。待てよ、そもそも空港に着くのが遅れてはどうしようもない。よし、1時間30分前には着くようにしよう」と考える。結果、やたら早く空港に着く。空港内にはカフェやラウンジなどがあるため、ある程度は時間をつぶせるのだが、結局出発時刻の30分くらい前に搭乗ゲート前に来てしまい、搭乗開始前の15分くらいは椅子に座ってぼーっとする。

 ところが、阿蘇くまもと空港は搭乗ゲートの目の前(写真)にフードコートがあるので、早く来ても食事をすればいいのである。しかも地元の食が充実している。飛行機はどうしても遅れることがあるが、もし15分遅れれば人によっては『ちょい飲み』の時間に早変わり。交通立地の商業施設では「待ち時間を持ち時間にする」ことが求められるが、阿蘇くまもと空港はこれをうまく生かしている。

 空港のあり方は少しずつ変化している。子どものころから新千歳空港を何度か使っているが、昔は生きたカニが何匹もいる大きな水槽があった。販売用のカニだったと記憶しているが、今はあそこまで大規模なものはない。なくなったときはもったいないと思ったが、坪効率を考えると仕方ない判断ともいえる。また今では空港にファッション店があるのも珍しくないが、進出当初は意外に感じたものだ。しかし、旅行にカバンなどは必須だし、旅行先の天候・気温により上着などが必要になることもある。また、前述のように空港は若干時間を持て余すので、忙しい人にとって買い物できる場があると助かるだろう。実は空港にファッション店があるのは理に適っている。

 海外からの旅行者もすっかり回復し、空港は賑わっている。空港ターミナルビルを一から整備することはなかなかないが、増築・改装は少なくない。阿蘇くまもと空港のように配置に工夫を凝らしたもの、業種が面白いものなど、空港の整備も新たな動きはある。空港は今後、どのような姿に進化するか。
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