商業施設新聞
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No.942

10年越しに、前橋にIKEA誕生


若山智令

2024/2/6

 「やっと」「ついに」……。1月18日に群馬県前橋市で北関東エリア初の「IKEA前橋」がオープンした。IKEAがここに土地を取得したのは2013年9月であり、10年越しの開業となった。「本当にIKEAは来るのか」と地域住民の関心も高かったようだが、IKEAで取り扱うすべての商品が揃うフルラインアップの店舗としてついにベールを脱いだ。

 所在地は前橋市亀里町2008で、北関東自動車道の前橋南ICから5分。パワーモール前橋みなみの一角に位置し、隣には23年4月に開業した「ユニクロ 前橋南インター店」がある。IKEAは敷地5万8000m²、店舗面積約1万m²で、店舗は2階建てで買い回りしやすく、見て回るだけでも楽しいと感じるため、あっという間に店内を1周してしまう。オープン時にはIKEAカラーを施したラッピングバスも登場し、地域全体でIKEAの誕生を祝福した。

 IKEAがこの敷地を取得し、出店予定地としたのは2013年9月。06年に日本に上陸したIKEAは、北欧のシンプルでオシャレな家具・雑貨というデザインが支持を受け、あっという間に日本でも受け入れられた。店舗は06年に1号店の「IKEA船橋」(千葉県船橋市)、2号店の「港北」(横浜市都筑区)がオープンし、08年に3店(神戸、鶴浜、新三郷)と新店をオープンしていき、順調に店舗を増やしてきた。こうした出店攻勢から、当時はすぐにIKEA前橋もできるものだと思われていたが、そこから実に10年の時が流れた。

41あるルームセットの一つ
41あるルームセットの一つ
 IKEA側としては「10年というのは確かに長いが、オープンが遅れたというわけではなく、ベストな状況でのオープンを目指した結果、今に至った」と説明。オープン前は数年にわたって近隣の住宅訪問などを行い、ニーズを探るなどのマーケティングも行ったという。これにより前橋市など商圏エリア周辺は持ち家比率が高く、家具やインテリアなどを自由に買い揃えられることが分かった。これらは店内で41の数を展開するルームセット(部屋の空間提案)にも生かされ、IKEAのある暮らしを提案しているようだ。

 買い物だけではなく、2階にはスウェーデンレストランも導入。このレストランでは、植物由来の原料を使ったミートボールのような「プラントボール」や「サーモンマリネ」などを提供。ほかにも、IKEAのフードが店舗の外から購入できる「ビストロウインドウ」を国内店舗で初めて設置し利便性を高めたほか、前橋限定のプラントベースベビーカステラも販売している。

 10年という長い期間を経て、ようやくオープンしたIKEA前橋。オープン当日には、その期待を表すかのように開業の10時前から多くの人が列を作ったという。こうした思いを持って、末永く営業してほしいと思う。
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