商業施設新聞
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No.940

神宮外苑の自然に触れる


安田遥香

2024/1/23

 本日1月23日付で発刊の商業施設新聞第2530号では、神宮外苑地区における再開発計画を特集した。様々な意見がある同計画だが、三井不動産などの事業者は近隣住民や世間への理解を得るべく様々なことに取り組んでいる。その1つが市民参加型イベントの開催だ。去る2023年11月11日には第1弾イベント「親子でどんぐりを拾おう!in神宮外苑」が開催された。少し間が空いたが、今回はその様子を紹介したい。

 当日は、数日前に季節外れの真夏日を記録したのが嘘のように秋風が冷たく、また前日の雨空を引きずった生憎の天候だった。それにもかかわらず、秋の気配を感じようと8組24人の親子連れが足を運び、神宮外苑内に設けられた会場は普段以上の賑わいを見せた。同イベントは、まず(1)地面に落ちているどんぐりを拾い、その後(2)拾ったどんぐりの植え付けを体験する、という2部構成だった。どんぐり拾いが始まる前には、解説員より神宮外苑には20種類以上のどんぐりが生育していることなどが説明された。

 秋真っ只中ということもあり、地面にはしゃがまなくても確認できるほど多くのどんぐりが落ちていた。子どもたちはどんぐりのあまりの多さに驚いたり、拾ったどんぐりを都度数えたりするなど、思い思いにどんぐり拾いを楽しんでいた。子どもたちの様子を微笑ましく見守るだけでなく、子どもと拾ったどんぐりの数を競うなど、親たちもイベントを楽しんでいた。また、拾っている最中に見つけたクモを捕まえようとしたり、黄色い落ち葉を拾ったりと、会場に棲むどんぐり以外の動植物とも触れ合う子どもの様子も見られた。どんぐり拾いが一通り終わると、事前に説明のあった種類のどんぐりが実際にあったかどうかを解説員とともに探した。また、それぞれのお気に入りを解説員に見せ合っていた。子どもたちのどんぐりに対する知見がさらに深まったようだった。

どんぐりを拾う子どもたちはとても楽しそうだった
どんぐりを拾う子どもたちは
  とても楽しそうだった
 続いて、拾ったどんぐりを実際に植え付けるコーナーに移った。先ほどとは別の解説員が、どんぐりの植え方を全体にレクチャー。解説員の指導のもと一緒に植えていくのだが、どんぐりを拾っていた時とは打って変わって、子どもたちの表情は真剣で、皆一生懸命に取り組んでいた。両親はその様子を傍で見守っていた。解説員は植え方のみならず、植えた後の管理方法についても説明した。すべてのプログラムが終了した後には、主催者から参加者にいちょうの苗木がプレゼントされた。神宮外苑の象徴ともいえるいちょうだが、自宅で生育する機会は多くない。生育・管理方法についてもきちんと説明のうえ、子どもたちに手渡された。

 今回のイベントには、渋谷区など近隣に住む親子の参加が目立った。主催者の最終挨拶では神宮外苑地区が再開発により新しく生まれ変わることが説明され、近隣住民へ事業の理解を促す意図がうかがえた。実際、参加者からは「イベントに参加したことがきっかけとなり、再開発事業について興味を持ち、自分から情報を取っていきたいと思うようになった」という声が聞かれた。なお、今回集めたどんぐりは事業者にて育成し、将来的に芽吹いて順調に育成した木については神宮外苑内への新植を検討するという。今後もどんぐり拾いのみならず、植樹や樹木の観察など、近隣住民が自然と触れ合える様々なイベントの企画が計画されているようだ。
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