今年はクマ被害が多い。民家や市街地に現れ、人が襲われ、それも致命傷になるような被害が少なくない。その要因に猛暑での木の実の不作などが指摘されている。
注意することを肝に銘じるほかない
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そんなおり、先日NHKスペシャルで放送された『OSO18』は背筋が凍る思いがした。「OSO18」とは、北海道に生息する牛を襲うヒグマで、異様なほど警戒心が強く、なかなか捕獲することができなかったのだ。「OSO」とは、北海道東部の川上郡標茶町・厚岸郡厚岸町一帯において、2019年から2023年にかけて乳牛を襲撃していた雄ヒグマ1頭のコードネームで、標茶町オソツベツの地名と、前足の幅が18cmと推定されたことで命名された。実際には足のサイズは20cmだったらしいが。番組では、襲撃された牧場などのルートを辿って次はどこに現れるのかと専門家たちが予想するのだか、それを嘲笑うかのごとく、別の場所で被害があったりするわけで、まるで映画『羊たちの沈黙』で、殺人鬼「バッファロービル」が色々な場所で女性を襲うシーンと重なった。番組最後になぜOSO18が誕生したのかを推論するが、それを語る國村準氏の抑えの利いたナレーションが印象的だった。
11月下旬に札幌に出張した。宿泊したホテルでニュースをつけると、札幌芸術の森第1駐車場でクマの足跡が確認され、小学校の近くにヒグマが現れたというニュースを見た。翌日には札幌市の隣、北広島市の今年開業したボールパークに取材に行く予定だったので、正直びびった。ボールパークは北広島駅から離れており、球場の西側には林が広がっており、もしも道端で出くわしたらどうしようか、鈴でもつけていったほうがいいかと逡巡するほどだった。
2020年から本格化した新型コロナウイルス感染症の拡大は徐々に落ち着き、新型コロナウイルス感染症の位置づけが、これまでの「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」から、23年5月8日には「5類感染症」に引き下げられた。これにより、感染回避のため家にこもる「巣ごもり」から、外出する人が増えた。外出機会が増えたことでアパレル市場が回復する一方、巣ごもり需要で好調だった家具やDIY、また郊外で他人と接しないキャンプニーズによって需要が高まっていたキャンプ用品が反動で伸び悩んでいるという。しかし、もしかしたら熊対策用品として新たなキャンプ・アウトドア需要が生まれるのかもしれない。
コロナ禍前は、およそ100年前に流行したスペイン風邪のようなパンデミックがまさか起こるとは思わなかったし、今日、野生のクマにここまでおびえるなんてことが待っていようとは、人生はわからない。改めて自然のすごさを感じてしまうのだった。